「対露制裁は石油価格の引き下げが狙いだったが、逆に値上がり」=トルコ人専門家が語る欧州の経済状況

エネルギー制裁で苦しんでいるのは、ロシアというよりむしろEUだ。エネルギー生産国であるロシアは悪影響は受けておらず、それどころか、今回のOPECの決定後、供給削減から原油価格は上昇を続けている。トルコのベイコズ大学の経済学者、エヴレン・ボルギュン助教授はスプートニクからの取材にこうした見方を示した。
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ボルギュン氏は、ロシアは制裁の決定でいたって普通に利益を得るため、自国に益となるよう原油価格を可能な限り高く維持しようとしていると語る。

「制裁措置の発動で欧州の景気後退はさらに進む。欧州は今、高いインフレと経済不況の中にある。経済学では、これはスタグフレーションと呼ばれ、非常に不愉快な状態だ。欧州の状況は米国より悪い。石油に関しては、米国は自給自足ができる。輸出もある程度までは行っている。その結果、これらの問題は米国には影響せず、影響が出るのは世界的な成長率の低下だけだ」

対露制裁がプーチン大統領をより強くした=ガーディアン紙
ボルギュン氏はまた、ロシア経済は欧米の制裁攻撃に打撃を被り、欧米にエネルギー資源を販売できないために苦しむことになるという見解に反駁している。ボルギュン氏は、ロシアは販売先をすでに中国に切り替えており、欧州の不況は2023年6月まで、少なくとも2~3四半期は続くと予想している。また、3ヶ月後にはEU諸国の、特にドイツの経済成長がマイナスとなるために、世界的な成長率も低下する。
世界は米国のインフレの代償を払っている
「2024年に米国は大統領選挙を迎えるが、バイデン氏は得票に問題があるため、石油やエネルギー価格の上昇を望んでいない。原油価格が上昇し、米国の家計支出が増えると同時に、バイデン氏への票数は減少する。もし、冬季の石油価格が100ドル、またそれを超えたら、米国はもう対処できない。米国は間違いなくロシアに対して措置をとろうとするだろうが、ここで興味深いのは、サウジアラビアがこの図にどう関わってくるかということだ。今のところ、ロシアとサウジアラビアが制裁措置への対応策として行った供給制限の決定は価格を押し上げ、欧米の戦略に悪影響を与えている」ボルギュン氏はこう語っている。
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