「日本のように、これほど高度に発展した国が、国内に数多く存在するさまざまな新興宗教から守られていないことは非常に矛盾したことです。日本は、1995年に、『オウム真理教』によって、さらに多くの犠牲者が出なかったという点において、『幸運』でした。というのも、ヘリコプターや(大規模なテロ事件を起こすのに十分な量の)ガスを持っていたオウム真理教の信者らには、こうした事件を起こす現実的な可能性があったからです。国内で中毒物質を散布するためにさまざまなものを利用するかもしれないと考えられました。
統一教会も、全体主義的セクトの一つです。創始者である文鮮明の死後、統一教会は枝分かれしたことから、その影響力はいくらか弱まってはいましたが、それでもこの宗教団体は十分に強い影響力を持っています。つまり、完全に消滅していない限り、団体は人々の運命を『破壊』し続けます。しかし、その活動内容においてもっとも驚くべき点は、これが韓国のセクトだということです。両国の複雑な関係を考慮すれば、なぜそれが他でもない日本でこれほど『根付いた』ということ自体が驚異的なことなのです」。
「韓国では、この団体は、韓国の利益のロビー機関として創設されるようになったものです。これが、統一教会が1976年に起こったいわゆるコリアゲートに関与していた理由の一つです。(当時、この政治スキャンダルには、民主党議員に対し影響を及ぼそうとする韓国の政治家が関与していた)。そしてその後の数年間で統一教会は実質上、国際組織となり、一方、境界に対する韓国国内の態度はかなり慎重なものになりました。とりわけ、創始者の文鮮明が2012年に死去してからその傾向は強くなりました。ですから、統一教会はすでにかなり前から、国際レベルでの韓国の政治上のロビイストではなくなっています」。
「一つ目は、日韓関係の緊張を考慮し、この宗教団体が元々韓国のものであると指摘する者が必ずや出てくるだろうということです。また2つ目は―これも重要なことですが、このような宗教団体には、選挙の際に、言われた通りの候補者に投票する信者が多くいるということです。
つまり、政治家にとって、資金のみならず、特定の目的のために必要な数の人員を確保できるというのは、便利なことです。現在、何人かの政治家の名前が上がっているのは、こうしたことで説明がつきます。
ただし、これらの政治家が参加していたのは、何か大々的な汚職のスキームではなく、統一教会が企画した会合への出席やイベントでの発言などに過ぎません」
「現時点の(明らかになっている)情報では、統一教会が自身に有益な法や規則を求めて、政治家に金銭による影響を与えていたということはないとされています。しかし、岸田総理大臣が、統一教会に関する今回のスキャンダルを、国内を一掃するために利用する可能性は除外できません」。
「(安倍元首相の殺害事件の捜査に関連して)一連の政治家の関係が発覚したことで、日本人の間にはネガティブな反応を引き起こされました。そして人々は、不満を表すためにこれを口実として利用しています。国内の経済状況全体を含めた不満です。
日本における統一教会の活動は、文字通り、日本の何人かの家庭を破産させました。政府はこれを無視することはできません。ですから、活動の内容を調査すると決定しました。以前のように、これで支持率低下に『ブレーキをかけられる』可能性は高いです。しかしながら、(国民の生活水準の低下という形の)この問題はこれを不可能にしています。おそらく、政府は、国民の考えに耳を傾け、国民の気持ちに寄り添うことができるということを見せるためにこの状況を利用しようとした可能性があります。
今、これは政府のイメージアップのために必要なことなのです。殺害された安倍元首相が統一教会に関与していたかどうかはもはや明らかではありません。というのも、容疑者は、目的は偽りだったと明かしているからです。さらに容疑者には刑事責任能力がなかった可能性もあります。
しかし、もし統一教会のイベントに政治家らが参加していたとしても、団体の活動は法的に認められています。従って、彼らは何の法も犯していないのです。
違法行為の指摘は、政府からもできません。ですから、その活動に対する現在の全体的な不満も、法的には、一部のネガティブな考えだとして評価される可能性もあります」。
「他でもない、国の経済の低迷、価格高騰、ビジネスの崩壊。日本人の意識の中で、こうしたすべてが統一教会をめぐる状況として昇華し、濃縮したのです。そしてこれは、岸田総理大臣にとっても都合がよいのかもしれません。というのも、人々を、生活悪化の真の理由から、そして、政府は日本が抱える深刻な問題に対処できないという考えから目を反らせることができるからです」。
「スキャンダルの規模を考えれば、国の安全への脅威という意味でも、完全に禁止するというのがより良い決定でしょう。しかもこれで、一般の人々を破産や政治家の殺害に終止符を打てるのです」。