研究者らが1942年に北海のベルギー沖で沈没したナチスのトロール船「V-1302ジョン・マン号」の残骸を調査した結果、船からは80年もの間、爆薬の有毒な物質が漏れ続け、海底の微生物相や地球化学に悪影響を与えていることが判明した。
ベルギーの研究者らが船体の鋼鉄と周囲の海底から採取したサンプルを分析したところ、ヒ素、爆発物質、ニッケルや銅などの重金属、多環芳香族炭化水素(PAH)の痕跡が検出された。
最も高い濃度が検出されたのは船の近くで、サンプルではRhodobacteraceaeとChromatiaceaeという微生物が多環芳香族炭化水素(PAH)を分解していることが明らかになった。船体では、硫酸還元微生物が金属を分解しているのが確認された。
しかも科学者らによれば、北海だけでも同じような状態の沈没船が何千隻もあり、海洋生物相、海洋植物相への悪影響は累積すると膨大な量になる恐れがある。
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