大坂正明:日本史上最長となる46年間の逃亡
1971年11月14日、東京・渋谷で学生のデモが発生。ここに過激派「中核派」の活動家だった大坂被告も参加していた。当時、学生らは沖縄県における米軍配置を見込んだ日米間の沖縄返還協定の批准に反対。デモは警察に対する暴力行為に発展した。捜査記録によると、大坂被告は当時21歳の警察官を暴行した過激派の1人。被告がこの時に投げた火炎瓶が警察官の死因となった。また襲撃の際に警察官詰所に火をつけ、数人を負傷させた。
大坂被告は1972年に指名手配。2012年に東京にある中核派のアジトを捜査した際に、同被告がまだ日本で潜伏中であることが確認された。警察は2017年に広島の拠点を捜査。捜査員に体当たりしたとして公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕=不起訴処分=された男が大坂被告だと確認され、警視庁が殺人容疑で再逮捕した。
逮捕された大坂被告は黙秘権を行使し、捜査への協力を拒否。被告は罪を認めておらず、「全ての容疑について事実ではない。無実の無実である」と主張。
裁判では、大坂被告が中村巡査の殺害現場にいたかをめぐり、検察側と弁護側が真っ向から対立した。弁護側は、大坂被告がデモに参加していたことは認めたものの「デモ隊に遅れをとったため殺害現場も事件後に通り過ぎただけ」など主張。検察側は、デモ参加者4人が「大坂被告を目撃した」という証言を軸に立証するものとみられているが、大坂被告自身は「参加者の供述調書は官憲による創作文でしかない」としている。
世間を震撼させた大事件、それぞれの顛末
死刑が確定している林眞須美。1998年7月25日に起きた和歌山カレー事件の犯人。夏祭り用のカレーにヒ素が混入、67人が急性ヒ素中毒になり、中高生を含む4人が死亡した。死刑はまだ執行されておらず、現在も服役中。
横浜港バラバラ殺人事件。2009年6月に神奈川県横浜市で発生した殺人事件。犯人グループは覚せい剤などの薬剤を密輸しており、その時に発生したトラブルが原因で被害者を殺害した。前年から始まった裁判員裁判で初めて死刑判決が言い渡された例であり、同時に裁判員裁判で初めての死刑確定となった。また、控訴も取り下げたため、裁判員裁判だけの審理で死刑が確定した最初の事例にもなった。
安倍晋三元首相襲撃事件。2022年(令和4年)7月8日11時31分頃、奈良県奈良市の近鉄大和西大寺駅北口付近にて、安倍晋三元首相が選挙演説中に銃撃され死亡した事件。この事件で殺人の疑いで捜査が進められている山上徹也容疑者(41)は、母親が多額の献金をしていた旧統一教会に恨みを募らせ、団体と近しい関係にあると思った安倍氏を狙ったとみられている。
テント殺害事件(米国)。1963年に米デンバーのガールスカウト、マーガレット・バックさんがキャンプテント内で殺害された事件。鑑識の結果、マーガレットさんは性的暴行を受けてから首を絞められたことがわかった。しかし警察は目撃者も容疑者も割り出せず、事件は未解決のまま、2019年になりようやく、被害者の爪から検出された犯人の肌組織の一部から犯人のDNAプロファイルを作成することができた。その結果、犯人は現場近くに住み、ガールスカウトキャンプのことを知っていたジェイムズ・レイモンド・テイラー(当時20歳)である可能性が高まった。しかし警察はその男を捕まえることはできていない。
ゾディアック事件 (米国)。ゾディアックは1968-69年に北カリフォルニアで起こった連続殺人事件の犯人のニックネーム。50年以上にわたり捕まえることができず、2021年にようやく「高い確率で」連続犯人の身元を確定することができた。当時すでに死亡していた米空軍の退役軍人、ゲイリー・フランシスとされている。ゾディアックは警察宛のメッセージをマスコミに送り、そこに書かれていたコードが犯人の名を暗号化したものであった。2020年末にようやく、年号を解き明かしたが、具体的なものは何も見つからなかった。様々な憶測がまだあるものの、事件は今も未解決のままである。
ハチャトゥリアン姉妹事件(ロシア). ロシア史上最も世間を揺るがせた家庭内暴力(DV)を発端とした姉妹による父殺し事件はまだ終結していない。2018年にハチャトゥリアン姉妹は当初、被害者と認められ、ロシア捜査委員会はすでに死亡している専制君主の父親を起訴した。続いて姉妹に対して刑事事件として起訴。父による嫌がらせはあったものの、捜査では、事前共謀による殺害があり得ると判定された。