東欧・ポーランドでは現在、同国初の原発建設に向けて作業が進んでいる。この計画には日本の東芝も6月、タービンや原子炉を納入する事業に参画すると表明している。
ポーランドの原発について、モスクワ国際関係大学のニコライ・トポルニン教授は次のように語っている。
「1基の原発で欧州のエネルギー問題を全て解決することはできません。ですが、エネルギー分野での独立性、安定性を高めることはでき、十分積極的な決定と言えます」
欧州では従来、原発はリスクの高い危ないものだとされ、脱原発の動きが広まっていた。実際に、ドイツやベルギーでは現在でも脱原発方針を崩していない。だが、トポルニン教授は、ここに来て欧州の複数の国が新原発建設に動いていることを受け、「状況が変わってきている」と強調している。
トポルニン教授は、ロシアの国営原子力企業「ロスアトム」が現在、ハンガリーで原発建設を進めていることにも触れ、「ハンガリーは大きくない国なので1つ原発があれば国内の電力需要は賄える」と指摘する。このようにエネルギー危機を背景に原発の利点が再認識されており、「欧州では原子力時代が来るかもしれない」と述べている。
「今、原発はこれまでと全く違った意味合いを持っています。エネルギー分野の独立性を加えるものとなっているのです。私は欧州で新原発の建設ブームが来る可能性を排除しません」
日本では2011年の福島第1原発事故を受け、反原発の運動が高まり、一時は国内全ての原発が稼働を停止した。政府も反対世論を懸念して原発の再稼働を思い通りに進められなかった経緯がある。
だが、昨今のエネルギー危機を受けて、岸田文雄首相はここぞとばかりに原発回帰の方針を示している。原発事故後に再稼働した10基の原子炉に加え、さらに7基を再稼働すること、次世代原子炉の建設や運転期間の40年から60年への延長などをすでに表明している。
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