日本の原発再稼働 賛成か反対か

美浜発電所 - Sputnik 日本, 1920, 19.09.2022
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日本では、首脳レベルで、原子力発電所の再稼働、現存の原子炉の運転期間の延長、発電所の新設について検討されるようになっている。これは、とりわけ、この問題は冬の到来とともにより深刻なものになると予想される電力の需要と供給バランスに関わる緊張状態を原因としたものである。同時に日本は、「グリーン・エネルギー」の発展とエネルギー資源の供給元の多角化により、エネルギー自立を強化する意向である。
現在、日本はエネルギー資源の94%を輸入に頼っている。
今年5月の時点で、岸田文雄総理大臣は、エネルギー安全保障に対する脅威が高まりつつあるもの、国内での原子力発電所の新増設は予定していないと述べていた。しかし、8月末、「グリーン・トランスフォーメーション」実行会議で、岸田総理大臣は、3つの案を専門家に検討するよう提案した。1つ目は福島原発事故後、稼働している10基の原子炉に加え、7基を再稼働すること、2つ目は次世代原子炉を建設すること、そして3つ目が原発の運転期間を40年から60年に延長することである。
岸田氏はまた、「再生可能エネルギーと原子力は、『グリーン・トランスフォーメーション』促進のための主要な脱炭素エネルギー源であるとも指摘した。
岸田氏は、化石燃料への依存が高ければ高いほど、経済の不安定要素が高まるとし、次世代原発の開発と建設は安定したエネルギー供給と2050年までのカーボン・ニュートラル達成に向けた重要な意味を持つものとなるだろうとの確信を示した。
美浜原発(福井県) - Sputnik 日本, 1920, 13.09.2022
日本 半数近くが次世代型原子炉の開発を支持=NHK世論調査
最近、CNBCからのインタビューに応じた西村康稔経済産業大臣も、岸田総理大臣のこうした考えを支持し、「原子力は日本のエネルギー安全保障において重要な役割を果たすだろう」と述べ、これがカーボン・ニュートラル達成に向けた意向にも合致するとした。
さらに大臣は、「天然ガスとエネルギー資源の価格は世界中で高騰を続けている。エネルギー市場は緊張している。原子力発電所の利用は日本が安定したエネルギーを確保するものであり、また今後、日本がエネルギー分野で自立する可能性を与えるものだ」とした上で、福島原発事故後に見直された厳格な安全基準を遵守する必要性を強調した。
これに関連し、「フィナム・マネージメント」社のドミトリー・バラノフ主任研究員は、このニュースは驚くべきものではないとして、次のように述べている。
「福島原発事故後、日本政府が、原発の稼働をほぼ全面停止するとの決定を下した直後から、専門家らの間では、日本が原発の稼働禁止を長期にわたって続けることはできず、早かれ遅かれ、原子力の使用を再開することになるだろうとの意見が広がっていました。これは理性的な判断であるのはもちろん、日本が原子力の使用を回避しようとしていたときの経験をふまえた結論であることは十分理解できるものです。日本は、原子力なしでも電力供給を保障することができたとはいえ、散発的な電力不足は発生し、電力使用の制限が発動されたことすらありました。しかし、このエネルギーのために支払われた価格はかなり高いものとなり、このことは、貿易赤字の増大につながったほか、原発稼働停止によって輸入資源で火力発電を行っていることを原因とした電気料金の値上げといった状況を生みました。このほか、火力発電を中心に据えたことは、環境悪化の一因にもなりました。これは日本にとって、深刻な問題の一つです。ですから、早かれ遅かれ、日本が原子力の利用を再開することになるのは明らかです。日本政府が原子力発電所の重要性を認めることは日本経済にとって最初の一歩であり、この後、原子力の通常利用の再開を促進するような方策が続くことになるでしょう」
日本での原発の運転再開が決まれば、鉄鋼業、アルミ産業を中心とした多くの部門がこれを歓迎するのは疑いようのないことである。というのも、電力の価格高騰により、多くの産業部門の利益が減少し、消費者価格も値上がりしていたからである。一方、一般の人々について言えば、明確にこれに賛成する機運は今のところない。
最近、読売新聞が実施した世論調査では、原発の運転を少しずつ再開していくという日本政府の計画に「賛成する」と答えたのは回答者の52%であった。また新たな原発の新設については49%が「評価する」と答え、44%が「評価しない」と答えた。
脱炭素を目指す日本、2023年夏以降に計17基の原発を稼働へ=読売 - Sputnik 日本, 1920, 24.08.2022
脱炭素を目指す日本、2023年夏以降に計17基の原発を稼働へ=読売
おそらく長期的な現象になると思われる世界のエネルギー市場の乱流を背景に、もし日本政府が原子力を利用せざるを得ないと理解したのであれば、今度は、国民にそれを納得させるしかないのである。
原子力発電所の再稼働は、各自治体の承認なしに行うことはできない。地元の裁判所はこれまで一度ならず、安全性の基準に十分適合していないとして原子炉の再稼働を中止するとの判断を下している。
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