オーストラリアのアデレード大学の研究チームは、牡蠣礁の再生が行われていた南オーストラリア州の沿岸部の一部に、音響機器を設置して海中の自然音を流した。その結果、驚くべきことに5カ月後、音を流した場所ではそうでない場所と比べ、牡蠣礁の大きさが平均で約4倍に成長していた。
また、牡蠣の幼生は生後2~3週間は泳いで移動することが知られている。音響機器を設置した方ではそうでない場所と比べ、1平方メートル当たりで約5000匹(約5倍)多くの幼生が集まった。
牡蠣の幼生は小さな触角のような毛で、音波によって生成された水の流れを把握する。研究チームは音を流すことで、牡蠣が自分たちが健全な環境下にいることを認識する可能性があると考えているという。
牡蠣は日本でも冬の味覚として知られ、三重、広島、北海道など各地で名物となって養殖も盛んである。今回の研究はサンゴ礁の再生など環境保全を主眼に置いたもののようだが、今後、養殖技術にも応用できないものかと期待が高まる。
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