2人の専門家は、次のように述べている。
「ワシントン(米政府)は、ウクライナと台湾を同時に軍事支援できる状態ではないようだ」
米国は2月以降、ウクライナに185億ドル(2.7兆円)の兵器を含む軍事支援を行っており、歩兵携行式対戦車ミサイル「ジャベリン」は備蓄の3分の1が枯渇したといわれている。米シンクタンク「戦略国際問題研究所」によると、米国はウクライナ支援で空いた自らの装備の穴を埋めるのに、数年間を要するとみられている。
スピンク氏とギブソン氏は、米国による台湾への軍事支援はすでにウクライナ紛争によって遅れが出ているという。また、サプライチェーンの混乱、米国の武器輸出の過程で必要となる煩雑な「お役所仕事」の長期化などがそれに拍車をかけている。
台湾海峡をめぐる米中の緊張が高まるなか、台湾への兵器供給をつよめる必要性に迫られれば、ウクライナへの軍事支援を現在の水準に保つことは難しくなるだろうと指摘している。これはつまり、米国が対ロシア政策と対中国抑止のどちらかを選択するよう迫られているということを意味するのだ。
米国の台湾への軍事支援をめぐっては、今後の対中有事を見据えて、米国が台湾との兵器の共同生産に向け検討を進めていると報じられていた。
関連ニュース