問題の写真ではコザツキーは「ハーケンクロイツの入ったピザ」を調理し、ヒトラーのイデオロギーにまつわる極右のスローガンがプリントされた服を着ている。
「アゾフスタリ」製鉄所で撮影された写真
コザツキーはマリウポリの戦闘に参加し、現場からの写真レポートを定期的に発表していた。そしてその写真をもって、後に国際コンクールに参加している。ちなみに、「オレスト」ことコザツキーはロシア軍の捕虜にもなったこともあり、ロシア兵が拷問を受け、残虐に殺害される様子を「威嚇する目的で」にカメラで描写したと平然と語っていた。
捕虜交換で自由の身になった後、コザツキーは新たな自著を携え、米国向けのニュース専門放送局MSNBCに出演し、アゾフスタリ工場の日常生活を紹介した。注目すべきことはMSNBCは常々、アゾフについて、「そのイデオロギーゆえに脅威である」と報じていたことである。
コザツキーは、米メリーランド州の学校で、子どもたちに自分の「活躍」を講演したことさえある。
「ネオナチを崇めていることを私たちは恥じるべき」
ところがその後、人気を集めつつあったコザツキーのイデオロギーが、欧米に「バレてしまった」。カタルーニャ大学は、コザツキーの「イデオロギーを事前に知らなかった」として、アソフの作品を写真展から外した。
また、ニューヨークドキュメンタリー映画祭(DOC NYC)でのコザツキーのスピーチの際、ある女性活動家が観客にむかって、今、どんな人物が自分たちを前にして演説をぶっているのかを説明しようとして、ホールから追い出されるという事件があった 。
「彼はヒットラーの写真、ハーケンクロイツの絵を掲載していました。あなた方はなぜ、彼を招待したのですか?彼はドンバスで子どもたちの殺害に関与していたのですよ!あなた方は極右の役割を演じ続けている。私たちは、30年代のドイツ人のようにプロパガンダを強要されて、それで私たちはネオナチを崇めている。こういう人たちが紛れもないネオナチを舞台に招いている。そのことを私たちは恥じるべきです」
「ナチス主義者であるとは、別のことだ」
この事件の後、コザツキーはツイッターのユーザーに対して自己正当化を迫られた。コザツキーが考えた正当化の文句は、「ナチス主義者であるということは、別の人種を殴り、殺し、自分の考えを公に宣伝するが、ツイッターにジョークは投稿しないこと」だった。
コザツキーは英語でのツイートでは、自分の過去の発表を謝罪し、どのようなコンテキストで使われるようになるか知らなかったと強調した。だが、そんなコザツキーの言葉を理解する人は少なかった。ウクライナ人も含め、多くの人がコザツキーがネオナチのアゾフ連隊のメンバーであることを忘れはしなかったからだ。