この状況の「もっとも興味深い点」は、支援を受ける国々というのは、ロシアを非難する国連決議に反対した国々だということである。つまり、ウクライナにおける紛争に対するこれらの国々の立場は、日本政府の立場とは異なっているのである。
おそらく、他でもないこの事実が、日本の財務省の間で意見の相違を生み、このような政府の支援は国際社会における日本のプレゼンスの向上につなげるために、「戦略的に活用すること」が合理的であるとの考えを呼び起こしているのであろう。
一方で、日本外務省のデータによれば、これらの国々に提供される資金は、「外交的意義と人道支援の拡大」に立脚し、政府開発援助を目的に支出されるものである。
ロシア科学アカデミー世界経済・国際関係研究所、日本経済・政治グループのヴィタリー・シヴィトコ所長は、そうした理由から、その意義の見直しが行われることはおそらくないだろうと指摘している。
「これらの資金は何より、国際組織を通じて、人道支援に充てられます。つまり、これは、日本も当然、寄与している国際政治の枠内で行われる外国から発展途上国への援助の一種です。こうした財政支援は、支援を受ける側がどのような政治的立場にあるのかということとはまったく関係のないものです」
しかし、これより前、日本の林芳正外相は、これらの国の首脳と個別に会談を実施し、国連総会で、ドネツクおよびルガンスク人民共和国、ザポリージャ(ザポロジエ)州、ヘルソン州で行われた住民投票を非難する反ロシア決議を支持するよう説得したことを認めている。
これに対し、ヴィタリー・シヴィトコ所長は、これはあらゆる国の外務担当省庁によるルーティーン的なやり方であり、なんら不思議なことではないと指摘している。
「外交的な交渉の中で、それぞれの国が世界の具体的な状況に対する自国の立場を説明し、相手側にそれを支持するよう求めるのはまったく当然のことです。しかし、そうした外交が人道支援の提供に大きな影響を与えることはないでしょう。というのも、人道支援というのは、すでにかなり前からさまざまな省庁との間で調整され、国際的なルートで合意に至っているものだからです。普通、貧困国、発展途上国をどのように支援するかは、政治的な根拠に基づいています。おそらく、こういった事情が、日本外務省から財務省への回答になるでしょう」
しかも、今回の支援は国際組織に関係のある非政府団体への支援を含んでいる。そしてよく知られているように、それは、連帯した西側諸国が、発展途上国における主な目的とみなす民主主義的組織の創設と導入において、重要な役割を果たすものである。
しかしながら、19カ国が(ロシアを非難する)国連決議に反対票を投じたという事実は、「ウクライナ情勢に対するその国々のビジョン」が、今のところ、西側の路線とはまったく相入れないことを示している。それは国際的な圧力にも、また財政支援にも影響されるものではないのである。