【解説】トルコに対する隠れた戦い? 米国がシリアのクルド人部隊に軍事支援を行う理由とその方法

トルコは20日夜、13日に同国最大都市イスタンブールのイスティクラル通りで6人が死亡、80人以上が負傷したテロ事件を受けて、シリア・イラク北部で空爆作戦を実施した。この作戦でトルコは、シリア民主軍(SDF)とクルド労働者党(PKK、トルコはこの組織をテロ組織として認定)のクルド人武装勢力の拠点を攻撃した。
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トルコ空軍が今回行った軍事作戦「クロー・ソード作戦」を背景に、PKKとSDFに対する米国の軍事支援が再び問題になっている。
トルコのイスタンブール中心部で爆発 死者も
2019年10月、トルコはシリアに対し軍事作戦「平和の源」を開始した。その後、米政権はシリア北部の「クルド人民防衛隊(YPG)」に軍の装備品や兵器を常に供給するようになった。米軍の支援を受けるSDFは、シリア北部ハサカ県とラッカ県の大部分と、アレッポ県とデリゾール県の一部の地域を支配している。
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米国は、クルド人のグループを「シリアでのダーイッシュ(ISIS)との戦いにおいて最も効果的な軍事力」とみており、あらゆる方法で支援するとの意向を繰り返し強調している。そうした支援の最も顕著な例として、2019年に米国議会が国防総省の要請に応じて、「シリアにおける同盟軍に資金を提供する」ために2億ドル(約280億円)の予算を割り当てることを決定したことがあげられる。
米国は、これらの地域に軍の装備品や兵器を送っている他、YPGに対して軍事訓練を行っている。米軍特殊部隊のジェフ・デニス司令官は19日、同氏がYPGの「エリート部隊」と表現する「ロジャヴァの反テロ部隊」の戦闘員の卒業式に出席した。デニス氏はその式典でクルド語で戦闘員を祝福し、「あなたたちの功績を誇りに思う」と強調したという。
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入手した情報によると、2022年8月には米国の兵器・弾薬や車両を積んだトラック80台からなる車列が、シリア北東部に向かったという。これにより、2022年に米国が送った軍用トラックの総数は1205台にのぼる。
米国は、ISISとの戦いのためにPKKとYPGに軍の装備品と兵器を供給したと主張しているが、トルコ政府は、それらの兵器はクルド人部隊がトルコ軍に対して使用するためにマンビジュ地域(アレッポ県)に送られたとみている。
米国防総省が4日に更新したデータでは、シリアのクルド人グループに割り当てられた予算の規模が明確に記されている。それによると、 2022年の軍事支援は1億5500万ドル(約219兆円)に達している。ちなみに、2021年の軍事支出は1億2500万ドル(約176兆円)、2020年は2億500万ドル(約289兆円)、2019年は1億1236万ドル(約円)だった。米国防総省は、過去5年間において、シリアのクルド人部隊への軍事支援に総額約6億4400万6800ドル(約910兆円)を割り当てている。
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米国防総省が4月に発表した2023年度予算案によると、米国は「対ISISプログラム」の一環として、シリアのクルド人部隊に1億8300万ドル(約258億円)相当の兵器・弾薬・装備品を供給する計画だという。
さらに、米国防総省は2023年、PKKとYPGに新たに3500人の隊員を加える意向を示している。したがって、これらの組織の中で同省の予算を受け取る人間の数は、1万6000人から1万9500人に増えることになる。
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