EUと米国は中国製のバッテリーに依存しないよう、保護主義的な政策を強化した。欧米の生産の75%近くは中国からのバッテリーに依存している。ゴールドマン・サックスは、中国製デバイスへの依存度を下げようとすれば、自前でバッテリー生産手段を作るのが一番手っ取り早いものの、それには782億ドル(11兆円)かかる上に、必要な部品の生産にはさらに604億ドル(8兆5000億円)が要されると指摘している。さらに、原材料のリチウム、ニッケル、コバルトも忘れてはならず、採掘に135億ドル(1兆9000億円)、その精製に121億ドル(1兆7100億円)が必要になる。
フィナンシャルタイムズ紙は、中国を介さずに欧米のメーカーのバッテリー需要を満たすもう一つの方法として、米国領内で韓国のLGとSKが大規模な生産を展開する可能性も挙げている。アナリストらは、中国製バッテリーを断念する代償として、米国市場に占める韓国メーカーのシェアは拡大するだろうと見ている。予測では2021年に11%だったシェアは2026年には55%に膨れ上がる可能性がある。
バッテリー生産の中国への依存を一切断ち切るのであれば、中国で採掘されるリチウム、ニッケル、コバルトを使わないナトリウムイオン電池の生産に切り替えねばならない。だが、ゴールドマン・サックスの試算では、いずれのケースでも、米国での生産単位当たりの設備投資額は、中国でバッテリー生産を立ち上げるよりも78%も高くなる。
フィナンシャルタイムズ紙によれば、ゴールドマン・サックスに比べると他の分析機関の予測は楽観的ではない。例えば、ニューエレクトリック・パートナーズ社は、中国における電気自動車用のインフラの潜在的な成長はあまりに巨大なため、中国は電気自動車とバッテリーの生産においてはいずれにせよ欧米を引き離すとの考えを示している。
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