「世界貿易機関(WTO)のシステムに準拠する提案をしたり、我々の戦略的に重要な産業に必要のない問題を起こさないようにしたり、EUと韓国が協働できるフィールドは大きい」
安氏はこのように述べ、韓国とEUは米国政府と協力して、IRAの「差別的影響」を最小限に抑えられると主張。一方、短期的にIRAを変更させるのは非常に難しいともしている。
また、「もし米側がなにもできず、もしくは我々と協働したくないということが明らかになれば、我々は別の選択肢を取らざるをえない」と述べた。一方で、EUが保護貿易政策を取って米国との直接貿易戦争に入ることは、「パンドラの箱を開けることになる」と警告した。
米国のジョー・バイデン政権によるIRA法は、米国で製造された電気自動車などに多額の税制優遇措置を与えるといったもので、来年1月1日に施行される。約3690億ドル(約52兆円)をグリーンエネルギーや気候変動に寄与する産業などへの補助金や減税制度にあてるほか、約640億ドル(8.7兆円)を医薬品や医療保険の価格引き下げに活用するとしている。こうした優遇措置は、EU、日本、韓国などの自動車メーカーにとっては自社製品の競争力を奪う重大な問題だ。
IRAを巡っては米国の同盟国からも激しい反発の声があがっている。先週、米国を訪問したフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、IRAがWTO規範を順守していないと指摘。さらに、米国が「非友好的」な行動をとっていると痛烈に批判した。日本も11月初旬、この法に対する懸念を政府からの意見書として明確に表し、米政府に対しIRAの内容を緩和するよう要請した。
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