インドとの国境地域を管轄する中国人民解放軍の西部方面司令部は同日、9日に中印国境山岳地帯でインド側との衝突があったと発表。中国側は自軍が実効支配する地域のパトロールを行った際、インド軍の部隊が通行を「不法に阻んだ」と主張している。
一方、これまでにインド側も国境地域での衝突を認めている。少なくとも6人のインド兵が軽傷を負ったとしたほか、中国側にもけが人が出たとしている。ロイター通信によると、両軍の衝突は「殴り合い」だったといい、岩肌から滑り落ちて負傷した兵士もいたという。
この衝突の後、両軍の責任者が協議を行い、現在は双方が撤退したという。中国外務省は13日に談話を発表し、「中印国境の情勢は全体的には安定している」と強調。両国は国境問題で外交・軍事当局者間の連絡ルートを維持しているとしている。
インドと中国には、カシミール北部の山岳地帯とアルナチャル・プラデシュ州の約6万平方キロの領土をめぐる長年の紛争がある。1962年にはこの問題により、国境紛争が起こった。近年では中印の大規模な軍事紛争は起きていないものの、2020年5月にインド兵20人が死亡、中国側も少なくとも6人が死亡する衝突が起き、現在に至るまでにらみ合いが続いている。