報道によると、ランブレヒト氏は自ら辞任を決断した。同氏は辞任の理由について、メディアから注目されようになり、ドイツ連邦軍のニーズに集中できなくなったと説明した。同氏は過去数か月間にわたり、連立パートナーなどから度々批判を浴びていた。
自己防衛するための軍用ヘルメット5000個
ランブレヒト氏は2022年1月末、ロシアに対して自己防衛するための軍用ヘルメット5000個をウクライナへ供与すると発表した。これを受けて、ウクライナの首都キエフのクリチコ市長は「冗談もいいところだ」と皮肉り、「裏切り」だとドイツを批判した。ランブレヒト氏は、ウクライナへの武器供与は利益をもたらさないが、ドイツは緊張緩和のためにあらゆることを行うべきだとの考えを示した。なお、ウクライナ側は軍用ヘルメット10万個を要請したが、供与されたのは5000個だった。
ドイツ軍の不十分な装備
2022年5月、ドイツは軍の近代化を発表し、そのために約1070億ドル(約14兆円)を充てた。そしてそれ以降、ランブレヒト氏はドイツ軍の軍備増強という課題と「戦い」続けた。装備品が役に立たない状態であることや、国の防衛能力をしかるべきレベルで維持するための装備が不十分であることが明らかになった。
昨年12月には、ドイツ軍の最新モデルのプーマ装甲歩兵戦闘車18両がすべて故障したことが分かった。技術的な問題が原因だったが、これらは最先端技術を使用した装備品ではなかった。
ドイツ軍のヘリコプターで写真撮影
ランブレヒト氏の息子がドイツ連邦軍のヘリコプターに搭乗している写真が公開され、これもスキャンダルとなった。ランブレヒト氏は、この問題が裁判に持ち込まれるまで6カ月間にわたってコメントを拒否し続けたが、ドイツ国防省の報道官は11月、息子の写真を撮ったのはランブレヒト氏本人であり、休暇のため北フリースラントへ飛び立つ少し前にヘリコプターの機内でランブレヒト氏が息子の写真を撮ったことを明らかにした。
ドイツ連邦軍のヘリコプターに搭乗しているランブレヒト氏の息子。
© 写真 : Social media page of Alexander Lambrecht
「欧州での戦争から多くの特別な経験を得た」
ランブレヒト氏の新年のメッセージは、一般市民だけでなくドイツの政治家をも当惑させた。ランブレヒト氏は花火が打ち上げられる中、ウクライナ紛争のおかげで充実した1年だったと語った。
「欧州の中心部で激しい戦闘行為が繰り広げられている。そこから私自身も多くの特別な経験を得ることができた。これに対して皆さんに心から感謝したい」
世論調査機関Insaが1月初旬に実施した世論調査では、ドイツ人の64%がランブレヒト国防相は辞任するべきだと回答した。
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