これより前、ランブレヒト氏は自身に対する集中的なメディア報道で職務継続が困難だとして、辞職を願い出ていた。こうした一連の動きは、1月20日に予定されているドイツ西部の「ラムシュタイン」米空軍基地でのNATO諸国の会議の準備が行われ、またドイツの戦車レオパルト2のウクライナへの供与に関する議論が活発化しているのを受けてのものとされている。
ローゼ氏は「批判にさらされ、国の弱点となっている人物を『ラムシュタイン』会議に出席させれば一定の影響が出ることは避けられず、他の同盟国から圧力を受けることになる」と述べ、そうなればドイツは不利な立場に追い込まれただろうと指摘した。またローゼ氏は、依然としてウクライナへの武器供与に関して慎重な姿勢を見せるショルツ首相が、ドイツ製戦車の供与に関するポーランドの計画に関する回答を求められているときに、会議にそのような大臣を出席させることは望んでいないだろうと述べた。
ローゼ氏は「辞意を表明したランブレヒト氏は、就任当初から批判を浴びていたが、2022年末から2023年初頭にかけて、圧力がかなり強まり、辞任するしかなくなった」と指摘し、このような状況において、国防相と首相に「他の選択肢はなかった」と強調した。さらに、花火を背景にウクライナ問題について発言したランブレヒト氏の新年を祝う動画についても触れ、これが最後の決定打となったと付け加えた。
またローゼ氏によれば、メディアなどで報じられているように、国防省内ではランブレヒト氏と他の職員との間でコミュニケーション上の問題があったという。さらにローゼ氏は、ドイツ政府は多くの点で、米政府に依存していることから、国防相に対する批判はNATO首脳らにも歓迎されることはないだろうとし、「EUと米国がステルス戦闘機F35の供給など、数十億ドル規模の契約を結んでいることから見ても、今後数十年は米国の支配が続くだろう」と付け加えた。
ユルゲン・ローゼ氏はドイツの評論家でドイツ社会民主党メンバー。連邦軍中佐時代の2007年、良心から、アフガニスタンに派遣されたトーネード戦闘機に搭乗するのを拒否し、別の任務への移行を志願した。
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