粉塵キラー
環境保護活動家によると、グレート・ソルト湖は1850年以降、すでに水量の73%を失い、表面積も60%縮小しているという。現時点で、この湖の水位は自然界の平均値より5.8メートル低い。湖の急速な干ばつは、周辺に生息する動植物だけでなく、人間の健康にも深刻な危険をもたらすと研究者は警告している。実際に、湖底からアンチモン、銅、ジルコニウム、ヒ素などの有害金属が混ざった有毒な粉塵が発見されている。もし湖が干上がれば、突風によって有毒な粉塵が遠くまで飛ばされることになる。この粉塵は、農作物や土壌を荒らし、雪を溶かし、人間の場合は有害な粉塵を肺に取り込むことで、喘息や気管支炎、心臓病、ガンといった病気の発症リスクが高まる。ユタ州の環境保護活動家は、すでにユタ州南部とワイオミング州のグレートソルト湖から飛んできた粉塵を確認している。
なぜ湖が滅びていくのか
グレートソルト湖は1000万羽の渡り鳥の生息地であり、ユタ州において年間25億ドル(約3250億円)の経済活動を生み出すと推定されている。研究者や自然保護論者は、湖の干上がりの主な原因は、アルファルファや干し草の生育に水の過剰使用にあるとみている。こういった植物は湖の灌漑用水の74%を畑の灌漑に費やす。湖を救うためには、できるだけ早くに水の消費量を30〜50%削減しなければならない、と研究者らは訴えている。
何をすればいいのか
環境保護団体によると、現在すでにグレート・ソルト湖の底が露出している部分は、その地域のすべての生物に前例のない危険をもたらしており、早急に対策を講じなければならないという。少なくとも、毎年1兆2340億リットルの水量を湖に足す必要がある。これは、オリンピックサイズのプールに入る水50万個分に相当する。今何も措置を施さなければ、2024年末には湖が干上がり、有毒化する。
スプートニクは以前、ベトナム戦争中に米軍の化学兵器使用によって破壊された植物資源を甦らせるために、ベトナム当局がどのような対策を取っているかについて報じた。
関連記事