ウクライナ政府による正教会の取締法案に国連人権担当事務次長補が懸念を表明

国連のイルゼ・ブランズ・ケリス人権担当事務次長補はウクライナで用意されている二つの新たな法案が信仰の自由を損なう可能性があるとして懸念を表明した。
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ケリス人権担当事務次長補は国連安保理の会合に出席した中で、ウクライナ保安庁がウクライナ正教会の敷地内で行っている強制捜査の関連で国際法を遵守させるようウクライナ政府に要求したほか、刑事起訴された聖職者については公平な裁判を提供するよう要求した。
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また、ウクライナで用意されている二つの法案が信仰の自由を損なう可能性があるとして懸念を表明し、言論の自由、集会の自由、信仰の自由を保証するよう呼び掛けた。
ウクライナ正教会の解体は困難、欧州人権裁判所による提訴の可能性大=宇政府高官
国連安保理の会合では17日、ウクライナ情勢が検討された。この会合ではロシア正教会のヴォロコラムスキー主教が演説を行った。ロシア正教会の主教が国連安保理の会合で演説を行うのはこれが初めて。主教は演説の中でウクライナ正教会の聖職者らに用意されている刑事起訴は捏造されたものであると指摘したほか、ウクライナ政府が聖職者の国籍を剥奪したことは宗教弾圧に他ならないと懸念を示した。主教によるとウクライナでは2022年、129の教会が政府によって国有化されたという。そのほか主教は国内における信者の権利侵害の実態について国連安保理の会合で報告した。
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先にウクライナ保安庁はキエフ・ペチェールシク大修道院内で「鐘が鳴り渡り、ロシアの上に母なるルーシが目を覚ます、聖母がロシアを救う、母なるルーシが目を覚ます」という「ロシア支持」の歌が歌われていたとし、同大修道院、及び北西部ロブノ州の一部教会で「対情報作戦」を実施し、50人以上を拘束して尋問していた。
キエフ・ペチェールシク大修道院のパーヴェル府主教によると、儀礼を担当したザハリヤ神父は今後、教会内での活動が禁止されたとのこと。その後、府主教はウクライナ主義のサイト「平和維持軍」で懲罰の対象リストに掲載されたという。ウクライナ正教会は一部の聖職者に重罰を求刑する内容の起訴状が用意されているとし、懸念を示している。
キエフ・ペチェールシク大修道院はウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)の管理下にあるものの、5月に分離派のウクライナ正教会(2018年にウクライナ正教会からの独立を宣言)は大修道院の明け渡しを要求する声明を発表していた。ウクライナ正教会は分離派が保安庁を利用し、キエフ・ペチェールシク大修道院を自らの管理下に置こうとしていると懸念している。
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