強制起訴されたのは、東京電力元会長の勝俣恒久被告(82)、元副社長の武黒一郎被告(76)、武藤栄被告(72)。同原発事故をめぐり、巨大津波の襲来を予測できたのにも関わらず、必要な対策を怠り、その結果、避難を余儀なくされた福島県の病院の患者ら44人を死亡させるなどの罪に問われている。
東京地裁は2019年9月に行われた1審判決で、巨大津波が起こることは予知できなかったとして3人に無罪を言い渡した。しかし2022年7月の民事裁判で、東京地裁は津波は予測でき、事故は防げたとして、3人を含む旧経営陣に約13兆円の賠償を命じた。
今回の2審における審理のポイントは、日本政府の機関が2002年に発表した地震の「長期評価」の信頼性。検察側は、この評価に信頼性があるのは明らかで、巨大津波が来ると予測できたはずであり、3人の被告には過失があると主張した。旧経営陣は「科学的信頼性はない」として、無罪を主張した。
東京地裁は今回の2審の判決で、1審に続いて3人全員に無罪を言い渡した。