直木賞を受賞した小川氏は、同賞の候補となったのは2019年発表の短編集『嘘と正典』に続いて2回目で、今回初めて受賞が叶った。デビュー作は2015年にSF小説の『ユートロニカのこちら側』。
『地図と拳』は、19世紀末から1950年代にかけての中国東北部の満州を舞台にした空想歴史小説。日本人の研究者やロシア人宣教師、父親や日本人に復讐を誓う中国人女性兵士など、数多くの人物が登場する。
千早氏のデビュー作は2008年に『魚神』で、これで小説すばる新人賞、泉鏡花文学賞を受賞している。直木賞候補となったには今回3度目。受賞作の『しろがねの葉』は千早氏が初めて手掛けた歴史小説で、戦国時代末期の石見銀山を舞台としている。
芥川賞を受賞した井戸川氏は大学を卒業後、高校で国語教師を務めるかたわら、詩や小説の執筆活動を始めた。これまでに、2018年出版の詩集が中原中也賞を、3年前に発表の小説『ここはとても速い川』が野間文芸新人賞を受賞している。『この世の喜びよ』は発の芥川賞候補作品。子育てが一段落して、ショッピングセンターの喪服売り場で働く中年の女性がある少女との交流を通じて、生きる喜びを取り戻していく姿が描かれた。
佐藤氏は仙台市出身で、2017年にデビュー作『蛇沼』で文芸誌の新人賞を受賞している。芥川賞は、今回初めての候補で受賞した。東日本大震災をテーマにした小説『荒地の家族』は、震災の津波で大被害を受けた宮城県亘理町に住む、40歳の植木職人の男性を主人公にしている。
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