メトロポリタン美術館はウェブサイトを更新。現在は「ウクライナ人画家のクインジはウクライナの町マリウポリで生まれ、ウクライナで広く有名」と紹介されている。これまでは「クインジはウクライナやロシアで有名」との説明だったが、更新時の校閲でこれは通らなかったようだ。ただし以前の説明のほうが真実に近いのだが。
アルヒープ・クインジは1841年にロシア化したギリシャ人靴職人の家に生まれた。貧しい家庭で育った青年は、絵画の授業料を自分で稼がなければならなかった。1865年にクインジはサンクトペテルブルクの芸術アカデミーに入学。そこでイリア・レーピン、イワン・クラムスコイをはじめとするロシア絵画美術の名を高めた数々の優れた画家と知り合う。
クインジは学生時代、またその後もロシア北部のラドガやヴァアラムで何度も旅をした。クインジの最高作と考えられているのは、その時期に描かれた「白樺林」であり、トレチャコフ美術館創設者であるパーベル・トレチャコフに即座に購入された。珍しい色の構成と独自の塗り方の技法により、クインジの作品は輝き、キャンバスに描かれた空間の立体性を錯覚させている。そのため世界の絵画カタログでは、アルヒープ・クインジはロシアのルミニズム派の代表として紹介されている。
更新されたメトロポリタン美術館のウェブサイトでは、マリウポリにあるクインジ美術館はその作品とともにロシア空爆で2022年3月に壊されたと書かれている。しかし実際はそうではない。マリウポリの美術館のクインジの作品は現在、ドネツク美術館で見ることができる。マリウポリでの戦闘開始前、ロシア遺産に対処していた「アゾフ」戦闘員が建物に火を放つ前に、クインジ美術館幹部は一時保管のために作品をドネツク美術館に預けることができたのだ。
スプートニク通信はこれより前、ロシア文化を「キャンセル」しようとする試みは失敗に終わる、とロシア上院議員が発言したことを取り上げた。
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