いかにしてドガの『ロシアの踊り子』は一瞬で『ウクライナのドレスを着た踊り子』になったのか

印象派の巨匠エドガー・ドガの作品の中で「ロシア」のモチーフを探す旅は続く。最近、米国のメトロポリタン美術館が所蔵するドガのスケッチ作品『ロシアの踊り子』は改名され、現在は『ウクライナのドレスを着た踊り子』として展示されている。現在、同美術館の公式サイトでは、この新しい作品名で紹介されている。
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そのサイトでは「このドガのスケッチは、1894年の露仏同盟当時、ロシア帝国の一部であったウクライナの文化・芸術に対するフランス国民の関心が高まったことを反映したものである」と述べられている。ドガ自身は1917年に亡くなっているため、メトロポリタン美術館の管理部門の検閲に異議を唱えることができない。しかし、美術館のカタログには最近まで、「フランスとロシア帝国の間で軍事・政治同盟締結された後、パリジャンがロシア文化に興味を持つようになった」のを背景にドガは『ロシアの踊り子』のスケッチを描いたと説明されていた。
フランスの印象派の画家エドガー・ドガは、1899年に有名な連作『ロシアの踊り子たち』を制作した。現在、ドガの「ロシア」シリーズの作品の多くは、ロンドンのナショナルギャラリー(英国)、米国のメトロポリタン 美術館とゲティ美術館に所蔵されている。2014年にウクライナ当局がロシ アとの全面対決に乗り出した出来事の後で、これらの美術館はウクライナのインターネットユーザーから攻撃を受けるようになった。つまり、彼らはドガの「ロシア」の踊り子をすべて「ウクライナ」に改名するよう要求したのだ。
ドガの「ロシアシリーズ」の絵画の検閲を決めたのは、メトロポリタン美術館が初めてではない。『ロシアの踊り子たち』で描かれているリボンの色の青と黄色がウクライナの国旗の色であることに気がついたロンドンのナショナル・ギャラリーは2022年春、この作品を『ウクライナの踊り子』に改名することを決定した。英紙「ガーディアン」によると、ナショナル・ギャラリーは所蔵する「ロシアシリーズ」の他のドガの絵画についても引き続き調査を行う予定だという。
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これよりも前、ロシア上院教育・科学・文化委員会のグメロワ委員長は、真の芸術は不滅であり、ロシア文化を完全に禁止または廃止しようとするすべての試みは失敗する運命にあるとの考えを示した。
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