RTL は1年前、専門家らが予測したロシアの崩壊は起こらなかったと強調。ロシア経済は2022年、わずか2%縮小したものの、すでに2023年には成長予測さえ出されている。RTLは、ロシアが制裁圧力の厳しい状況に耐えることができたのは、上述の「強力なエアバック」に加え、ロシア軍の進軍に合わせて軍事経済の発展が加速し、これが国全体の製造業セクターを牽引しているためと説明している。
RTLが特に注目したのは、ロシアが国内企業に対して国家発注を増やすという形で行っている資金援助。発注のための資金の大半をロシアはエネルギー輸出から得ていた。RTLはこのスキームを次のように説明している。ロシアの石油、特にガスからの収入は2022年、制裁にもかかわらず「文字通り、天を衝く勢いで急増した」。それはエネルギー輸出の減少をエネルギー価格の上昇で補うことに成功したからだ。
ただしRTLは、エネルギー資源の取引による、この経済成長スキームは2023年にはもはや機能しないとみている。それはロシアの欧州向けガス供給が90%も減少し、ガス価格も危機以前の水準に戻っているからだ。しかもロシアのエネルギーは主要な買い手である中国やインドには、世界市場よりもはるかに安い価格で販売されている。2023年1月の炭化水素資源の輸出によるロシア予算への収入は、前年同月(2022年1月)に比べて46%減少しているのに対し、兵器の製造工場を新たに立ち上げるための支出は急増。しかもこれらすべてが、ロシアへの技術機器の禁輸を背景に起きている。ここでRTLは、ならばロシアにとってすべてがそれほど絶望的なのかと疑問を投げかけている。
ロシアの現状を分析した結果、RTLは、制裁はロシアを危機に追い込まなかったと結論づけた。それは多くの制限を迂回する上で中国がロシアを助けているからだ。例えば、中国はロシアに軍民両用の技術を輸出している。特に、通信機器や位置情報機器、無人航空機、また兵器の製造に必要な半導体は言うまでもない。しかもロシアのマイクロチップの輸入量はほぼ戦前の水準に戻った。また、ロシアの輸出も制裁で停止されたわけではない。以前のように欧米に輸出されなくなっただけの話で、別の方角へ供給されている。こうRTLは結論付けている。
IMFは先日、経済予測の修正を発表し、2023年のロシアのGDP成長率をプラス0.4%に直した。
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