ロシア・モスクワのクレムリンで15日、ウラジーミル・プーチン露大統領とシリアのバッシャール・アル=アサド大統領の首脳会談が行われた。会談は拡大会合とプーチン、アサド両大統領の1対1の会談の2形式で行われた。会談時間は約3時間に及んだ。両首脳は政治、貿易経済、人道分野における二国間の協力の発展についてやシリア国内や地域情勢の安定の展望について議論した。
シリア人の大多数は特殊作戦におけるロシアの勝利を願っている
アサド大統領はプーチン大統領との会談で、ウクライナにおける特殊軍事作戦でロシアを支持する立場を表明した。アサド大統領はこれに関する質問に対し、シリア国民はウクライナにおける特殊軍事作戦の実施でロシアを支持していると指摘した。同氏によると、その理由は多数ある。
「一方でこれは連帯だ。なぜならロシア連邦はテロ対策でシリア人を支援したからだ。他方で、この戦争に対するよりグローバルな見方がある。まさにこの戦争は、世界全体のバランスを変え始めるだろう。なぜならシリア、イラク、そしてその他の多くの国の苦しみの一部は、一極世界によって引き起こされているからだ」
アサド大統領はまた「ロシア連邦がこの戦争で勝利したとき、シリア人の大多数がそれを望んでいるように、必ずやより安全で穏やかな新しい世界が生まれるだろう」と述べた。
ロシアの新たな国境を承認するのはロシアとの友好のためだけではない
シリア政府はロシアの新たな国境を承認するかとの質問に対し、「もちろん、私はこれがロシア領だと言っている、そして仮に戦争が起こっていなくても、それは歴史的なロシア領である」と指摘した。
アサド大統領は、ロシアに組み込まれた地域について、ロシアへの編入の是非を問う住民投票が行われ、その結果が発表されたため、ロシアに組み込まれる前からシリアはこれらの地域を承認していたと述べた。
「シリアの立場は明確かつ一貫している。我われにはこれに関して確信がある。ロシアとの友好のためだけでなく、これらの領土はロシアの領土だからだ」
アサド大統領によると、これらの地域は一時的にウクライナに引き渡されていたに過ぎず、そこに暮らすのはロシア系住民であり、現地の状況もそれがロシア領であることを証明しているという。
シリアにおけるロシアの軍事プレゼンスは一時的なものであってはならない
アサド大統領はスプートニク通信のインタビューで、シリアにあるロシア軍基地の拡張またはその数を増やすのはよい案だと指摘した。また同氏は、政治的な観点からみてロシアの軍事プレゼンスはテロ対策のみに限定されるべきではないと強調した。
「テロとの戦いは今日のテーマだが、それは一時的なものだ。ロシアの軍事プレゼンスはいかなる国においても何らかの一時的なものに基づいてはならない。私たちは国際的なバランスについて話しているが、シリアにおけるロシアのプレゼンスも、地中海に位置する国として、世界のパワーバランスに関係する意味を持っている」
アサド大統領は、超大国は今日、自国を守ることも国際舞台でしかるべき役割を果たすこともできず、プレゼンスを自国の領土のみに限定しているとの見方を示した。
シリアにあるロシア軍基地は最高のシステムを装備していなければならない
スプートニク通信は、シリアに極超音速ミサイルを配備する可能性についても質問した。アサド大統領は、シリアにあるロシア軍基地は最も近代的な兵器を装備するべきだと答えた。
「兵器の質に違いはあるが、原理は同じだ。もちろん、基地をつくろうとするのであれば、それは軍事的観点から弱い基地にすることが目的ではない。基地は抑止力またはバランスをとる効果を持つためのものだと考えられ、最高の兵器を装備しなければならない。これは当然であり、理にかなっている。それが極超音速ミサイルであろうと、現在および将来のその他のいかなるより近代的な兵器であろうと、原理はもちろん私が話したものと同じだ」
両国の経済関係における新たな段階
アサド大統領は、ロシアとシリアは数週間以内に経済協力に関する協定に署名すると強調した。特に両国は、エネルギー、産業、輸送、住宅建設の分野で40件の投資プロジェクトを計画しているという。アサド大統領によると、協定に関する作業は数か月ではなく数年にわたって行われた。これは両国関係における新たな段階を示しているという。