岸田首相は少人数会合で、10年以上途絶えている相互訪問「シャトル外交」を再開させることで一致したことを明らかにした。また岸田首相は「日韓関係の新たな章をともに開く機会が訪れたことを大変うれしく思う」と述べた。
岸田首相と尹大統領は首脳会談を行った後、共同記者会見に臨んだ。
岸田首相の主な発言
岸田首相は「日本政府は1998年10月に発表した日韓共同宣言を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいることを確認した。今後、韓国側の措置の実施とともに、両国間の政治、経済、文化などの分野における交流が力強く拡大していくことを期待する」と述べた。
日本は、旧朝鮮半島出身労働者問題に関して韓国が発表した措置を、非常に厳しい状態にあった日韓関係を健全な関係に戻すためのものとして評価している。
また岸田首相は「日韓関係について、多岐にわたる分野で政府間の意思疎通を活性化していくことで一致した」と述べた。「日韓安全保障対話」や「日韓次官戦略対話」、またハイレベルの日韓中プロセスを早期に再開するという。
尹大統領の主な発言
尹大統領は「韓国と日本は、自由、人権、法治の普遍的価値を共有し、安全保障や経済、グローバルアジェンダで共同の利益を追求する最も近い隣国であり、協力すべきパートナーだ」と述べた。
尹大統領は、所謂「徴用工」問題の解決策として、韓国政府傘下にある財団が肩代わりした賠償金の返還を日本企業に求める「求償権」について質問を受け、「求償権の行使は解決策を発表した趣旨に関連して想定していない」と述べた。
北朝鮮問題については、韓米日および韓日で連携して北朝鮮の核・ミサイル脅威に対応することが重要だとし、「今後積極的に協力していくことで一致した」と述べた。
戦後最悪と言われるまで悪化した日韓関係
2018年、韓国最高裁は「元徴用工」問題で日本企業に賠償の支払いを命じた。同年12月、韓国海軍の駆逐艦が日本の海上自衛隊哨戒機にレーダー照射した。
2019年7月、日本政府は韓国向けの半導体材料3品目の輸出管理を厳格化した。これを受け、韓国では日本製品の不買運動が本格化した。同年8月、日本政府は貿易管理上の優遇措置を受けられる「ホワイト国」のリストから韓国を除外した。同年9月、韓国は日本政府が韓国向けの輸出管理を厳しくする措置を取ったことに対抗して日本を世界貿易機関(WTO)に提訴した。
2021年10月、日本で岸田文雄氏が首相に就任した。
2022年5月、韓国で尹錫悦氏が大統領に就任した。
2023年3月、韓国政府は「元徴用工」問題の解決策を発表した。