イスラエル公共放送によると、改革派の主要な思想家であるヤリヴ・レヴィン法相は、司法改革を停止する以外の「選択肢がない」ことを認めたという。しかし、政府内の極右政治家の1 人であるイタマール・ベン・グビル国家安全保障相は改革の停止に賛同していない。これよりも前、同局は、司法改革を一時停止するのなら、ベン・グビル氏は連立を解消すると主張していたと伝えていた。
イスラエルでの司法改革
イスラエルでは、ヤリヴ・レヴィン法相が司法制度改革案を発表した3日後の1月7日から抗議デモが始まった。この改革の本質は、同国の国会であるクネセトに司法をよりコントロールできる権限を与えるというもの。このためクネセトには、法律や政府の決定に関する最高裁判所の判決を覆す権限や、裁判官を任命する権限が与えられている。
2月末、イスラエルの国会議員は司法改革法案の第一読会を承認し、3月初頭、クネセトは他のいくつかの改革関連法案の第一読会を通過させた。
事態はヒートアップへ
司法制度の改革が進むにつれ、デモ参加者の人数も増えていった。11日の抗議活動には約50万人、26日にはイスラエル全土で60万人から70万人が参加した。イスラエル国防軍は、当局が国土の統制を喪失し始めたため、戦闘レベルを引き上げた。
ネタニヤフ首相が司法改革への反対を理由にガラント国防相の解任を決定したことで、事態はエスカレートした。ガラント氏はデモ隊との対話のために改革を一時的に停止することを提案していたという。イスラエル・メディアの報道によると、レヴィン法相も辞任すると主張している。
また、在ニューヨーク・イスラエル総領事は、現政権を代表することができなくなったとして辞任を発表した。
イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領は27日、ネタニヤフ首相に対し、「イスラエル国民の結束のために」法案の立法手続きを停止するよう要請した。
ロシア外務省は、イスラエルの状況について懸念を表明したが、同国で起きていることはイスラエルの内政問題であると指摘した。
ネタニヤフ首相とイタマール・ベン・グビル国家安全保障相は3月27日、司法改革法の承認を議会の夏の会期まで延長することで合意した。