銀行パニックの波が欧米を襲い、SNSや銀行アプリがその状況を後押し

米国のシリコンバレーバンクとスイスのクレディ・スイスの経営破綻は、米国と欧州に真のパニックを引き起こしている。これは、資金流出の加速や悪いニュース、噂の拡散という新たなリスクに銀行部門が直面していることが明らかになったためだ。スペイン紙「エル・パイス」が報じている。
この記事をSputnikで読む
シリコンバレーバンクは、経営破綻した最初の銀行でも、最後の銀行でもない金融機関だが、この破綻には一つの特徴がある。わずか10時間の間に420億ドル(約5兆5000億円)が引き出されたが、これは1秒間に100万ドル(約1億3100万円)以上が引き出されている計算になる。SNS上で銀行の破綻が迫っているという噂が広まっただけでなく、当局が緊急介入する時間を与えずにデジタルアプリで瞬時に資金移動ができた史上最速の預金逃避であると同紙は指摘している。
クレディ・スイスの状況は、シリコンバレーバンクで起こったこととほぼ同じだという。クレディ・スイスのアクセル・レーマン会長は、自身の銀行がスイス金融大手「UBS」に買収されたのは「ソーシャルメディアの嵐」によるものだと非難している。クレディ・スイスの経営陣は、スイスの信用機関の内部事情に関する機密情報を共有するプラットフォーム「Inside Paradeplatz」が、同行には経営破綻が迫っているとの情報を発表したとして、名誉毀損で訴訟を起こした。しかし、クレディ・スイスはもはやこの状況を対処することはできなかった。
米銀行200近くがシリコンバレー銀行と同じ運命をたどる可能性=調査結果
SNSで人為的に作られたパニックによって、クレディ・スイスの顧客は2022年に口座から約1230億ユーロ(約17兆3300億円)を引き出した。2023年3月、わずか数日間でクレディ・スイスの口座から約100億ユーロ(約1兆4100億円)が引き出されたことで、同行はもはや外部からの支援なしでは成り立たなくなったことが明らかになった。銀行のドアの前に怒った預金者の列はなかった。同紙によると、目に見えない顧客は、預金者にとって取引しやすいもので、それによって預金者を引き留めるように設計された、便利で安価で迅速なアプリケーションを使ってお金を動かしたという。
これよりも前、リーマン・ブラザーズ副会長は、スプートニクの取材に対し、米当局が構造的な問題を解決する前に、米国でさらに50の銀行が倒産する恐れがあるとの考えを示した。
関連記事
SVBの破綻は銀行側の失策、金利引き上げを継続=FRB
シリコンバレー銀行経営破綻の余波 この1週間の米国内銀行によるFRB借入額は過去最大に
コメント