動画へのコメント欄には「フィラデルフィアの上水道システムと直結するデラウェア川へ大量の化学物質が漏洩したことを受けて、フィラデルフィア市民は戦々恐々とし、市販の水の使用を余儀なくされている」と書かれている。事実、ニューズウィークによれば、2023年3月24日夜、ペンシルベニア州の化学工場から3万リットルを超える化学物質がデラウェア川に漏洩した。漏洩直後に市政府は市内最大の浄水場の取水口を閉じている。
自治体側は、流出したのはアクリルラテックスポリマーで人体への毒性はなく、ポリマーは皮膚に触れても危険性はないため、水道水は保健衛生上の用途に適していると発表。また、有害物質は少なくとも3月27日の夕方まではフィラデルフィアの上水システムに混入することはないため、飲料水として安全に使用できるうちに飲用や調理用の水道水を急いで溜めるよう住民に呼びかけた。
ニューズウィーク誌によると、当局の警告の発表があったのは3月25日午前11時30分。この直後にフィラデルフィア市内では至る所の店で激しい買い占めが始まった。スーパーには長蛇の列ができ、翌日の3月26日にはすでに店の棚は空っぽになっていた。ニューズウィーク誌によると、店に行列ができたのは化学物質流出の発表から10分もたたないうちだったという。
米国は今年、デラウェア川への化学物質の流出の他にも数回の技術災害を経験しており、フィラデルフィアのすぐ前にはノース・ダコタ州で貨物列車の脱線事故が発生し、石油製品が流出する事態となっている。
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