研究によると、中国は2000年以降、アルゼンチンやパキスタン、モンゴル、トルコなど22カ国に対し、少なくとも2400億ドルの「救済融資」を行った。その4分の3以上にあたる1850億ドルが2016年~2021年に集中しており、同時期に国際通貨基金(IMF)が支出した1440億ドル(約6500億ドルのコロナ対策特別支援は含まない)を上回っている。途上国への融資の主な財源となっている中国中央銀行の準備金の額は3兆3000億ドル相当とされている。
これについて、米メディア「ブルームバーグ」は次のように伝えている。
「中国はこの一世代の間に、発展途上国に対する世界最大の『貸し手』となった。これは中国によるビジネスや影響力の推進の一環であり、20世紀に米国が経済力を拡大したのと重なる。
今、次の章が始まろうとしている。債務問題に直面する貧困国が増えるなか、中国は中央銀行が持つ巨額の資金を利用して、これまで融資をしてきた国を救済する緊急支援ファンドとしての地位を確立しようとしている」
研究では国際金融システムにおける中国の役割が拡大しており、海外への融資も指数関数的に増加しているとしている。現時点では米国やIMFに匹敵するものとはいえないとする一方、金融・貨幣システムをめぐる米中競争は激しさを増していると指摘。これにより「世界の金融システムがより多極化し、 制度化されていない透明性の低いものになりつつある」と警鐘を鳴らしている。
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