フィリピンは2018年、ドゥテルテ前大統領が推し進めた麻薬撲滅戦争で違法な殺人が行われたとしてICCが捜査を開始したことに反発し、ICCローマ規定(ICC条約)の批准を撤回し、ICCから脱退した。一旦はこの捜査は中止となったが、今年1月に再開が決まっていた。フィリピン側は捜査再開に抗議していたが、ICC仲裁委員会はフィリピンが捜査中止を要請するに足る十分な理由を示していないなどとして訴えを退けていた。
マルコス大統領は次のように話している。
「これでICCとの関係は終わりだ。訴えは失敗に終わった。私たちの見解ではこれ以上政府にできることはない。だから、現時点ではICCとのいかなるコンタクトや連絡も中止することになる」
フィリピン政府はICCとの協力停止の理由として、「裁判管轄権や内政干渉、主権侵害に関する深刻な問題」を挙げている。
ドゥトルテ前大統領は2016~2022年の在職時、麻薬のまん延や麻薬依存者に対する撲滅キャンペーンを展開した。フィリピン警察によると、ドゥトルテ前大統領の就任後、約3000人の麻薬取引の関係者が殺害されており、なかには捜査の過程で殺害された人もいるとされる。国際社会からは容赦のない麻薬撲滅運動に懸念の声もあがっていた。
ICCは今月17日、プーチン大統領とマリア・リボワ=ベロワ露大統領全権代表(子どもの権利担当)に対し逮捕状を出している。ロシアはICCの締約国ではない。露大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、ICCによる問題提起そのものが受け入れられないとし、ロシアはICCの管轄権を認めておらず、ICCのいかなる決定も法律上の観点から無効だと表明した。
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