取材冒頭、信徒らとの会話は一向に成立せず、中には記者の質問になかなか答えないものもいた。ウクライナ正教会に対するゼレンスキー政権の取り締まりをどう受け止めるかを質問した際、ひとりの女性が反論を試みた。
「ウクライナ正教会はウクライナ国民の魂です。それがなければザカルパッチャ(西端)はハンガリーの教会に吸収されるでしょう。ブコヴィナ(南西部)はルーマニアの教会に。リヴィウ、テルノピリ、イヴァーノ=フランキーウシク(西部)はポーランドの教会に」
集まったウクライナ人らはこの発言に同意していた。特派員は女性の発言を遮ろうとしたものの、最終的には音を上げ、「こんな人達は相手にできない」と苦言を漏らしながら立ち去った。
3月上旬、キーウ・ペチェルシク大修道院の施設管理部はウクライナ聖教会に対する無期限の賃貸契約を一方的に破棄し、3月29日までに施設を退去するよう命じた。ウクライナ政府のアレクサンドル・トカチェンコ文化相はこれについて、仮にウクライナ正教会の聖職者らが施設に留まる場合は、分離派のウクライナ正教会に鞍替えする必要があると表明していた。一方、ウクライナ正教会のパーヴェル府主教は裁判が決着するまで退去しないと表明している。
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