同紙はドル覇権の崩壊はすでに始まっていると指摘。多くの国が貿易での決済方法をドルから自国通貨や地域通貨に一部変更している。
例えば、エネルギー市場では対露制裁を背景に、ロシア産の石油・ガスの支払いなどで露ルーブル、中国人民元での決済が進んでいる。また、米国がパートナー国としているインドも、マレーシアとの貿易に自国通貨ルピーを使うといった計画があがっており、中国も貿易における人民元決済の促進を強化している。
ドルは第二次世界大戦後、世界の準備通貨としての地位を確立し、世界の国々はドル資産が安全なものだと信じていた。だが、その信頼が今、米国の無責任な金融政策によって揺らいでいる。
武漢科学技術大学・金融証券研究所のドン・デンシン所長は次のように述べている。
「世界的な脱ドル化の動きは加速している。米国は過去20年間、ドルを国際準備通貨として絶えず乱用しており、他の通貨や経済に打撃を与えてきた」
2008年のリーマンショックに始まる大不況や、新型コロナウイルスのパンデミック後に起きた金融緩和、そして現在進行中の急進的な金融引き締めは他国の経済に深刻なダメージを与えてきた。
さらに、ロシアとウクライナの紛争が始まって以来、米国が主導した国際的な対露金融制裁はドルシステムに対する信頼の危機を招いている。これを受け、より多くの国でドル離れが進み、人民元など別の安定性の高い通貨への移行が加速すると指摘されている。
対露制裁の国際金融の影響をめぐっては、スプートニクはこのごろ、スイスの銀行「クレディ・スイス」が信用危機に陥ったのは、スイスが対露制裁に同調したことが一因となったとする専門家の視点を伝えた。
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