「鈴木さんの問題提起は演劇人として非常に正しいし、全面的に賛成です。鈴木さんとはこれからハンガリー・ブタペストでお会いする予定で、それが問題なくうまくいくことを願っています。4月10日から15日にかけてシアター・オリンピックスのオープニングが行われます。鈴木さんは17日に、2本の上演作品とともにハンガリーを訪れるはずです。私の演劇もその日上演されます。以前に会ってからだいぶ経ってしまいましたから、そこで皆で一堂に会すことを楽しみにしています。
私は、鈴木さんがいつも自身の作品創造の中で、非常に重要なこと、私たちの人生や社会、生活上の問題について問いかけようとしているのを見ています。それはロシアや日本だけでなくて世界的に起こっている共通の諸問題です。私は、これは正しいアプローチであると思いますし、いつもそれについて考えるよう努めています。演劇を上演すると、それが結果的に予言になったり、現実の事象に先駆けることがたまにあります。私が思うに最も重要なのは、ドラマ劇場、舞台芸術というのは、社会がどんな状態にあったとしても、人について語ることです。つまりは、人の成り立ち、人が良い方へ変わろうとすること、人格の形成といったことです。これらは常にドラマ劇場のテーマであり続けました。鈴木さんは、例えばリア王など古典的な作品を扱う時でも、この点を重視していますし、私もそうあろうと努力しています」
「鈴木さんはシアター・オリンピックスの創設者の一人ですし、私も委員会のメンバーです。このイベントがブタペストで開催できるように共に尽力しました。私はこれを、我々の共同プロジェクトであり、協力関係だと考えています。ただ会うだけではなくて、他にも委員会の座長であるギリシャの演劇人や、アメリカの演出家など、他国のメンバーも一緒に、劇場が国際関係の中で今後も存在していけるように力を合わせています」
「後継者のことは問題だと思っていません。若い人たちも、喜んで日本の皆さんと協力し、一緒に働くでしょう。状況が変われば、全てはうまくいくと思います」