リャブコフ外務次官は新STARTをめぐる現在の状況を次のように述べている。
「もちろん、現在我々が目にしているよりも、条約がもっと長生きすると思っていた。新STARTは死んでいないが、いわば『集中治療室』に入っている状態だ。米国がロシアへの敵対的政策を変える用意をみせないかぎり、条約の機能を再生させるチャンスは大きくないと思う。最悪の場合、条約は破滅するだろう。これが厳しい現実だ」
また、リャブコフ氏は新たな合意に達するためには、英国とフランスが持つ核兵器を考慮することが前提条件になると続ける。核保有国であり、米国の同盟国としてロシアに対抗しようとする2国の核兵器は、もはや無視できないと指摘。露米間の二国間協定でなく、多国間の枠組みに切り替える必要性を訴えた。
一方、ロシアは条約の参加を一時停止しているものの、新STARTで定められている数的制限は遵守するとも強調する。
「我々はあらゆる面で条約を停止しているが、条約で定められた戦略核兵器の上限は順守すると表明している。これは我々の善意の表れだ。全て停止しているが、我々は起こっていることに責任を持つという立場に基づき、数的上限は守る」
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2月、ロシア連邦議会で新STARTへの参加を停止すると表明した。
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