マルコス比大統領は、米国に基地へのアクセスが許可されるのはフィリピンが支援を必要とした場合にのみ限られると語っている。
比大統領のこの声明は1万7600人が参加する米比関係史上最大規模の軍事演習の開始を明日にも控えた時点で表されている。
フィリピンの航空基地は「金に匹敵する価値」 今や米国はこれを理解
米国防総省は、米国とフィリピンは2月2日、「(フィリピン)国内の戦略的地域」にある、さらに4つの基地への米軍のアクセスを認めることで合意に達したと発表。そのうち3か所は北部のカガヤン州にある海軍基地と空港、隣のイサベラ州の陸軍キャンプ(港は台湾から約400キロ)で、あとの1か所は南シナ海に面したパラワン島の南端、パラバク島にある基地。
スプートニクはこれまでに、現在のアジア太平洋地域の地政学的状況において、米国にとってのフィリピンの軍事施設の重要性が増していると指摘している。
まず第一に、中国との間で軍事紛争が起きれば、フィリピンの空軍基地はきわめて価値のあるものになる。これは、南シナ海の上空での空軍の活動が確保されるのが理由だ。現在、この海域は、沖縄の嘉手納基地の陸軍航空部隊ではほとんどカバーされていない。F-35 とF-16は十分な射程距離を持っておらず、またF-15はかなり老朽化しており、その戦闘能力は疑問視されている。
第二に、日米の空軍が嘉手納基地だけに集中していることにより、ミサイル攻撃に非常に脆弱な状態となっている。戦争が勃発した際に、最初の数時間ですべての航空機を失わないためには、航空機を分散する必要がある。クラーク空軍基地はこの問題を解決するために好都合。
そして第三に、フィリピンの空軍基地があることで台湾以東およびフィリピン北部の広大な海域を、沖縄・フィリピン間を往復する形で監視することが可能になる。
だが、フィリピン自身にとっては、こうした協定は悲劇的な結果をもたらす恐れがある。というのも、空軍基地を占拠する目的で中国が直接的な軍事侵攻を行う危険性があり、こうなった場合、フィリピンにはこれに対抗する能力がないからだ。