国連のステファン・ドゥジャリク事務総長報道官がブリーフィング会見で明らかにした。ドゥジャリク報道官は、「ロシアの複数の金融機関がSWIFTシステムから除外されていることが状況を複雑化している」とし、SWIFTの関係者や欧州諸国などとこの件について協議を実施していると述べた。また報道官は、「いくつかの問題について、我々はわずかながらも権力を持っているが、事務総長にはSWIFTに対する権力もなければ、一方的な制裁を発動している国々に対する権力も、保険会社や輸送会社に対する権力もない。彼らに指示を出すことはできない」と説明した。さらにドゥジャリク氏は、国連は貿易協会のメンバーや民間企業、政府、EU(欧州連合)などの代表を集め、相互関係メモランダムが遂行されていることを理解させようと尽力していると明かした上で、「しかし、全権を有する者がすべきことを行う権利は我々にはない」と強調した。
先にロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使は国連のマーティン・グリフィス事務次長に書簡を送った中で、60日間の延長後、再延長があるかどうかについてはロシア産農産物の輸出状況によるとしていた。具体的には、ロスセリホズバンク(ロシア農業銀行)とSWIFT(国際銀行間通信協会)の接続、ロシア向け農機具の輸出再開、穀物を搭載したロシア船向け保険サービスの再開、ロシア船の寄港許可、アンモニアのパイプライン「トリヤッチ・オデーサ」の操業再開、肥料を製造するロシア企業に対する制裁解除を指摘した。
ウクライナ産穀物に関する協定の有効期間は120日。昨年11月18日に期限を迎え、再延長されていた。
ロシア産食品及び肥料に関する覚書の有効期間は3年となっているが、ロシア側はこの覚書が履行されていないと主張し、黒海イニシアチブの延長期間を半分の60日にとどめた。また、この延長は、ロシア産食品及び肥料に対する間接的・直接的制裁を解除するとの約束が全て果たされるという条件のもとで実現するとしている。