国防総省の流出文書で反転攻勢の成功が疑問視、ウクライナ政府の反発招く=米紙

流出した国防総省の機密文書からは、米軍がウクライナ軍の戦闘能力を低く評価しており、その反転攻勢が成功するとは考えていないことが明らかになった。これを受けウクライナ政府高官はポリティコ紙の取材に対し、深い憤りを覚えているとコメントした。
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流出した機密文書ではウクライナ軍の能力が低く評価されており、地対空ミサイルシステムを含む兵器不足が指摘されているほか、今後数か月間に展開される反転攻勢で領土奪還を果たす可能性は低いとの見通しが行われている。
米国とウクライナは相互に信頼していると政府間のレベルでは表明されているものの、流出した機密文書からは米国防総省及び国家安全保障会議内部でウクライナに対する不信感が高まっていることが明らかになったとのこと。
反転攻勢の成功についてウクライナ政府側は危機意識を抱いている。ウクライナ国防省諜報局のキリル・ブダーノフ長官はABCニュースの取材に応じた中で、仮に反転攻勢が失敗する場合、軍事支援および財政支援を行うパートナー国の納税者の間で不満が高まる可能性があるとの懸念を示した。
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米国の機密文書が流出 問題の規模は?

ウクライナ紛争に関する機密文書が米国防総省から流出したと初めて報じられたのは、7日のこと。流出したファイルには、米国と北大西洋条約機構(NATO)がウクライナ軍を強化する計画に関する情報が含まれていた。同日、米連邦捜査局(FBI)は流出元を特定するための調査を開始した。
翌日には、中東や中国に関する情報、テロとの戦い、ウクライナ軍の状態に関する機密文書が新たに流出したことが分かった。NYTによると、この流出事件は米政権と同盟国の関係を複雑にさせ、「米国の秘密保持能力に対する疑念を植え付けた」という。
米紙「ワシントン・ポスト」は、米国の機密文書の流出事件が米国防総省でパニックを引き起こし、同省は「情報の伝達を制限する」という厳しい対応に出たと報じた。
なお、今回の流出で拡散された米インテリジェンス・コミュニティの機密文書(2023年2月23日付け)には、仮にウクライナが欧米の兵器を使用してロシア領への攻撃を本格化する場合、民間物資を装った「飛行支援」の提供をロシアに対して段階的に行うことを中国共産党の中央軍事委員会が承認したとの諜報データも含まれている。
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