インディペンデント紙によると、今、懸念を呼んでいるのが感染者数が激増しているコロナウイルスの新しい菌株Arcturus。科学者たちはArcturusがまもなく優勢な株になる恐れがあると警告している。ところが多くの国で検査、ワクチン接種は削減され、感染者の接触追跡が監視されないなど、コウィルス対策を実施するための警戒心や決意が低下している。インディペンデント紙は、これがネックとなって致命的な菌株が爆発的に増えた場合、医療従事者には反撃の準備はないだろうと警告している。
アークトゥルスで感染者が激増しているのがインド。2023年4月15日だけで新たな検出例は1万1109人を記録した。インディペンデント紙の指摘では、これだけ高い数値はほぼ1年ぶり。アークトゥルスはオミクロンの亜種でコードネームはXBB.1.16。これまでは主に東南アジア諸国で発見されていたが今や英国、シンガポール、オーストラリア、米国をはじめとする22カ国で検出されている。アークトゥルスを研究している専門家らは、変異によってより攻撃性が増した恐れがあると懸念している。
インディペンデント紙は、最新の統計をひいて、世界中の検査レベルが急落していると実態を懸念している。欧州では2022年初めには1日の検査回数は1000人あたり613回の検査が実施されていたものの、半年後の7月には非常にわずかな数値まで低下した。インディペンデント紙は、実際、検査が行われていなければ、新しい変種とその伝播について学界が把握できる範囲は限られてしまうと指摘している。
インディペンデント紙がパンデミックとの闘いで検査の次に重要視するのはワクチン接種。しかし、ここでも状況は嘆かわしい。2021年の夏以降、1日のワクチン接種率は世界的に99%も低下している。世界中で数多くのワクチン接種センターが閉鎖され、ワクチンの生産量も急減した。感染の新しい波が来た場合、すべてを軌道に乗せるには時間がかかる。
パンデミックに有効に対処するためのもう一つの重要な対策としてインディペンデント紙が挙げるのが感染者の接触の追跡だ。しかしこの対策も専門家らの警告にもかかわらず、追跡システムは2022年後半から多くの国で使われなくなった。現在、欧米を中心とする多くの国の政府はArcturus菌株が今まで出現した新菌株と同様に、パンデミック開始時に流行した亜種ほど致命的にならないよう願うしかない。
スプートニクは先日、潜在的に致死が疑われるH3N8型鳥インフルエンザについて報じている。
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