WION報道によれば、イエレン米財務長官は、国際貿易と金融決済の代替手段を探し始める国は今後ますます増えると述べる一方で、米国とその同盟国が国際舞台における「共働のパートナー連合」として制限措置に固執する場合、制裁は依然として極めて重要な影響力を持ち続けると指摘した。
イエレン米財務長官は「ドルの役割に関係した金融制裁を行う場合、時間の経過とともにドルの覇権が損なわれるリスクは存在するし、その結果、中国、ロシア、イランの側には当然ながら、代替手段を探そうという願望が湧く」と説明した。
WIONはイエレン米財務長官のこの声明に多くの専門家が同意しており、中国、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)といった、もともと国際舞台では米国の同盟国であった国々の企業に制限を課せば、否定的な結果につながる恐れがあると指摘している。
WIONによれば、中国当局は実際に米政権の行為を違法と非難し、中国商務省はすでに「『ロングアーム法』の形をとった一方的制裁の典型であり、企業の合法的な権利と利益を著しく害し、グローバル・サプライチェーンの安全性と安定性に影響を及ぼす。中国はこれに強く反対する」とすでに正式な抗議を表している。WIONは同省の公式声明を引用した。
WIONは、ウクライナで紛争が激化し、次々と新たな制裁が発動されるにしたがって、ドルを放棄し、他の通貨の使用を考え始めた国は世界中でますます増えたと強調している。例えば、インドはすでに18カ国と、インドルピーを決済に使用する相互貿易協定を結んでいる。イランも中国やロシアとの貿易経済取引においては米ドルの使用を完全に放棄した。あのサウジアラビアでさえ、ペトロダラーを放棄して「ペトロユアン(人民元)」に切り替える計画を宣言した。ロシアも国際貿易では人民元を積極的に用いている。また、WIONによると、BRICS銀行の支援による共通通貨の創設を検討する声も高まる一方だ。一方、国際通貨基金(IMF)の報告書によると、ドル建てによる世界の外貨準備高は、2022年の第4四半期に59%以下にまで減った。
独Deutsche Wirtschafts Nachrichten紙(ドイツビジネスニュース)は、東アジアおよび東南アジア諸国はほぼ全てが米ドルへの依存度を徐々に下げていると報じている。こうした諸国では近年、自国通貨による決済が大幅に増加している。日本やインドネシアをはじめ、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンは、すでに国境を越えた取引においては自国通貨による決済へ切り替える協定を結んでいる。
スプートニクは基軸通貨としての米ドルが今後10年でどうなるかについて、ロシア人経済学者の予測を紹介している。
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