カザフスタン、露迂回の石油輸出6倍に 日本も注目のカスピ海ルート

中央アジア・カザフスタンは2023年の第1四半期(1月~3月)、ロシアを迂回してカスピ海を経由する石油輸出量を前年同期比の約6倍に増加させた。ロイター通信が伝えている。
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ロイター通信などによると、1月~3月のカザフスタン西部のアクタウからアゼルバイジャンの首都バクーへの石油海上輸出(カスピ海は湖だが、国際法上は海と定義されている)は16万3400トンと、前年同期比(2万8800トン)の約6倍となっている。このルートは「カスピ海ルート」とも呼ばれ、中央アジアから欧州などをロシアを迂回してつなぐ主要なルートとなっている。
カザフスタンの海運企業「カズモルトランスフロト」によると、2023年第1四半期にはアゼルバイジャン、グルジア(ジョージア)・トルコを結ぶパイプラインを通じて計10万トン以上の石油が輸送されたが、この石油は主に「カスピ海ルート」を経由して輸出されたものとなっている。また、カザフスタンは中国へも毎月8万トンの石油を輸出している。
カザフスタンの石油輸出全体に占める「カスピ海ルート」を通した輸出の割合は比較的少ないものの、昨年のウクライナ情勢悪化以降に対露制裁が発動されて以降、その割合は大きく増えた。昨年1年間のこのルートでの石油輸出は180万トンで、2021年の約3倍(63万トン)となった。
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「カスピ海ルート」については昨年12月、カザフスタンを含む中央アジア5カ国の外相が訪日し林芳正外相と会談した際にも議題にあがっていた。林外相は当時、「厳しい国際情勢を踏まえ、ロシアを経由しない国際輸送路である『カスピ海ルート』について意見交換を行った」と述べている。
「カスピ海ルート」は一般的には中国からカザフスタン、カスピ海を経由して、アゼルバイジャン、グルジアなどを通り、黒海・欧州方面に抜ける国際貿易ルートのこと。中央アジア諸国は資源が豊かなことでも知られており、日本としてはエネルギー安全保障の観点からも協力を深化させたい考えだ。
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