ウクライナ支援
ザ・ニューヨーク・タイムズ紙は、戦線での決定的な勝利のないままにNATOが殺傷能力のある兵器を大量に供給した場合、それは幅の狭い小川と化し、一度そうなったら欧米は、ウクライナの反転攻撃を準備するために行ったようなキエフの軍事ポテンシャルの増強は二度とできないだろうと書いている。同紙の記者らは西側諸国はウクライナのために必要な数の軍機を持っておらず、国内の軍需産業も2024年より前にはウクライナの要求にこたえることはできないと考えており、さらにウクライナが戦線で負けを期した場合、ロシアと休戦ないし紛争凍結の交渉を真剣に行えという西側の要求に直面しかねないと指摘している。
西側の姿勢
ウクライナにはもう一つ問題がある。それはウクライナへの軍事支援の費用についてEU諸国の中に一体感が欠けていることで、現在、躓きの石となっているのはウクライナ軍への弾薬購入に10億ユーロ(1478億4000万円)に共同出資するという計画。ブルームバーグによると、EUのボレル外交政策局長は、ウクライナに供出した武器の総額はすでに130億ユーロ(1兆9200億円)を超えており、さらに欧州諸国は今までに1万6000人を超すウクライナ兵を訓練しており、2023年末までにこの数字を3万人に増やす予定であると述べた。
ザ・ヒル紙によれば、ウクライナ軍事支援の費用の問題は米国内でも持ち上がっている。バイデン大統領にウクライナ支援の打ち切りを求める米国人政治家らの声は頻繁に響くようになった。
ポール・ゴサール共和党議員は、ウクライナでの代理戦争に米国は納税者の2000億ドルちかく(26兆8300億円)を浪費したが、これで米国民自身の生活水準は一切上がっていないと強調。さらに共和党の19人の議員が将来の全てのウクライナ支援は紛争の一日も早い外交的な終結に差し向けられるのでなければ、これに反対すると表明した。
ウクライナ軍の反転攻撃
キエフでも、集団的な西側世界がウクライナの反転攻撃に求める結果がゼレンスキー政権の運命を決めることがどうやらわかってきたようだ。なぜならポリティコ紙によればウクライナ軍の反転攻撃の成功をめぐっては、ロシア軍を米政府内であからさまに疑問が呈されている。ポリティコ紙は米国の諜報情報として、ウクライナ軍には陣地にいるロシア軍をどうしても追い出す能力がないことを裏付けるデータを引用している。これに関してゼレンスキー氏の取り巻きは、より簡単な標的のほうが勝利をさめやすいとして、ゼレンスキー氏に課題の修正を勧めている。
スプートニクは先日の記事で、西側の軍事専門家らはますますウクライナの勝利を信じなくなっている事態を取り上げ、その理由を説明した。
関連記事