ネルソン長官は、米中が到達を計画している月の南極のクレーターの衛星写真を提示しながら、「クレーターが多数あるのは危険なことで、着陸は限られた場所でしか行えない。中国が最初に月面に到達し、ここは中国の領土であると主張し、他の国の飛行士らの着陸を拒否するのではと恐れている」と語った。
長官は、NASAはこの夏、国際的なプログラムの一環として、学術的かつ平和目的で月面着陸を行う計画だとした上で、米中が南極を目指すのは、そこに凍った水が存在するからだと指摘した。
米国はドナルド・トランプ前大統領時代に、有人月面探査計画「アルテミス」をスタートさせたが、この計画では月周辺に宇宙ステーションを建設し、2025〜2026年には米国の飛行士を月面に着陸させることになっている。
一方、中国の月面調査プログラム「嫦娥」は、月周回衛星「嫦娥1号」が打ち上げられた2007年に開始された。2020年11月には探査機「嫦娥5号」が月面着陸に成功し、地球にサンプルを持ち帰り、中国は月面開発ミッションで、米国、ソ連に次ぐ3番目の国となった。2024年には「嫦娥6号」の打ち上げが予定されており、月の南極でサンプルを採取する計画である。中国は、2030年には中国の宇宙飛行士を月面着陸させる可能性があると発表している。