金教授は第1の要因として、現在の米政権には戦略上の自信過剰と不安が交錯していることをあげている。冷戦が終わり米国が強大な敵であったソ連に勝利したと感じ、米国の政治エリートらは自信過剰に陥った。そして、北京とモスクワを同時に相手にするのは難しいことでないと考えた。その一方、現在山積している「課題」に対し、一部のエリートが不安を感じていることも一因となった。
2つ目の理由は戦略的意思決定を行う政治グループに関連している。金教授はこのグループに入っているのは、アントニー・ブリンケン国務長官やジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)らといった、冷戦終結後に自身のキャリアが始まった比較的若い世代の高官だと指摘する。彼らはそのキャリアにおいて生死にかかわる闘争や、冷戦時代のような複雑な地政学的対立に直面したことがないため、戦略上の経験が不足している。
3つ目の理由としてあげられているのは、米政策の「質」だ。問題は高度なイデオロギー化と二大政党間の闘争の激化にある。この状況のなかで、より急進的な考え方が優勢となり、穏健で合理的な主張は押しつぶされることになる。
4つ目の理由は、前述の政治のイデオロギー化が加速するとともに、ロシアや中国を本当によく知る専門家が議論の外に出されていることだ。こうした専門家たちは意見を表明するのを恐れているか、表明しても誰からも相手にされないかのどちらかだ。
これまでにスプートニクは、インド、ブラジル、パキスタン、エジプトは米国の政策の障害となり、ウクライナ危機に関する諸問題で回避的な立場をとっているという視点について取り上げた。
関連ニュース