米国の著名な気候学者、ケビン・トレンバース氏はニューズウィークからの取材に対し、現在の世界海洋の年間平均4ミリの海面上昇率では、海面は2100年には40センチメートル近く上昇すると指摘している。ただし、氷河に関してはどれほどの速度でその解けた水を海に吐き出しながら溶けるかはまだ謎。トレンバース氏は、最終的には氷河の溶解のために海面上昇の予測値の40センチは2倍近くになるかもしれないと警告している。ニューズウィークによれば、トレンバース氏は、人類が温室効果ガスの排出量をゼロにして、地球温暖化を食い止めたとしても、海面は今後何世紀にもわたって上昇し続ける事実に注意を喚起している。
国連大学の環境と人間の安全保障研究所の専門家、ジータ・セベスワリ氏もニューズウィークからの取材に、海面はわずかに上昇しても沿岸地域の浸水、海岸浸食、土壌や水源の塩害、インフラの破壊につながってしまうため、結果として、これらの地域は人が住めなくなると危惧感を表している。
セベスワリ氏によると、現在、最大の危機に瀕している地域は、米国東海岸とメキシコ湾岸地域で、最も脆弱な国はバングラデシュとベトナムが、また河川ではナイル川、メコン川、ガンジス川、ミシシッピ川のデルタ地帯が危ない。セベスワリ氏は、海岸部に近い、危険地帯のメガロポリスとしてニューヨーク、ジャカルタ、東京、上海、ムンバイなどを挙げている。ジャカルタは特に危険性が高く、ニューズウィークによれば、科学者らの予測ではこの都市は2050年までに水没すると判断を下した。セベスワリ氏は太平洋、インド洋、大西洋に浮かぶ小さな島国もまた、水没の運命にさらされており、中でも「傑出」した例がモルディブで、この国は海面上昇が40センチで国土の77%が水没すると指摘している。太平洋の他の島国も同様のリスクに直面する。
気候の危機は余りにも悪化してしまったため、沿岸部を浸水から完全に救うことはもはや不可能となった。だが、リスクを軽減し、壊滅的な事態を免れることはまだできる。ニューズウィークは、そのために、今すぐ二酸化炭素の排出をストップしなければならないと結論づけている。
先日、スプートニクは、海面の変動が地震の発生に影響を及ぼしているという研究を紹介している。
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