ロジャーズ氏は、世界的に脱ドル化の流れが進んでいる理由について、次のように述べている。
「ドルが放棄され始めているのは、米国が史上最大の債務国であるためだ。多くの人がこの通貨を使うかどうかと思い始めているのは、将来的に問題が発生する可能性があるからだ。また、国際通貨は完全に中立であるべきであることは明らかだ。国際通貨は誰でも、どんな目的でも、何に使ってもいいのだ。しかし、今米政権はゲームのルールを変えようとしている。彼ら(米国)があなたに対して怒れば、止める(注:ドルを制限)こともできるのだ」
ロジャーズ氏によると、米国に友好的な国であっても、いつでも制限が適用される可能性があるという。
「そのため、米国の友好国の多くは、ドルに匹敵するものを探している。そして多くの米国のパートナーが自分たちに何かが起こるのではないかと心配しているため、そのプロセスは加速している」
しかし、ロジャーズによれば、ドルに代わる通貨は存在しないし、ドルと競合できる通貨はまだない。理論的には人民元がその役割を担うことは可能だが、完全な兌換通貨ではない。しかし、最終的にはドルに代わる通貨はいずれ見つかるだろう。世界は動いており、米国の通貨の時代は終わりつつある、とロジャーズ氏は結論付けている。
最近、多くの専門家が、この1年で世界的にドル離れの傾向が強まったと指摘している。米国の投資家クレイトン・モリス氏は、ロシアを封じ込めるために行われた経済制裁が「逆説的に」ドル離れを加速させたと指摘している。また、メキシコ国立自治大学の政治経済学博士を取得したオスカー・ロハス氏も同様の見解を示しており、脱ドルのプロセスは2008年の経済危機後に始まったが、ウクライナ紛争で世界経済の二極化がさらに促進し、結果として通貨バスケット制の再構成をもたらしたと指摘している。
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