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【視点】米国がデフォルトに陥れば、悲劇的な結果を生む
【視点】米国がデフォルトに陥れば、悲劇的な結果を生む
Sputnik 日本
... 2023年5月11日, Sputnik 日本
2023-05-11T14:45+0900
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もっとも、5月10日に解決策をめぐって共和党のケビン・マッカーシー下院議長とミッチ・マコーネル上院院内総務と協議を行ったバイデン大統領は、その後、G7サミットを欠席する可能性は低いと述べた。米財務省と議会予算局の報告書では、債務が31.38兆ドルの上限に達した場合の結果について明記されている。指摘されているのは、米国経済が短期的なデフォルト(債務不履行)に陥った場合、20〜50万の雇用喪失、0.3〜0.6%のGDP低下、0.1〜0.3%の失業率の増加が見込まれるが、これはそれほど悲劇的なものではない。しかし、完全なデフォルトに陥れば、雇用喪失は830万、GDP(年率換算)の低下は6.1%、失業率の増加は5%、株式市場の下落は45%となる。そしてこれらすべてが、バイデン政権のこれまでの成功を無にするのである。ホワイトハウスは無条件での上限の引き上げを求めているが、これに対し、共和党が過半数を占める下院は、歳出削減を要求している。先日、ジャネット・イエレン財務長官は、債務上限引き上げについて、本来必要な連邦議会の承認を回避する措置をとるのは「憲法上の危機」になる可能性があると強調し、6月1日にもデフォルトに陥る可能性があると述べた。こうした状況について、米国・カナダ研究所の主任研究員で、経済学博士のウラジーミル・ワシリエフ氏は、「スプートニク」の取材に対し、現在、米国は憲法上の危機に近づいていると言えると指摘している。一方、ワシリエフ氏は、長年の経験から、債務上限に関する妥協点は見出すことができるものであることが証明されてきたと指摘する。一方、この問題について、フリーダム・ファイナンス・グローバル社のアナリスト、ナタリヤ・ミルチャコワ氏は、次のような見解を示している。しかしながら、こうした状況に陥る可能性はかなり低いとはいえ、もし実際に起こった場合にはどのような影響が出るのだろうか。日本のように、米国を軸にした経済システムを持つ国々にはどのような影響があるのだろうか。この問いに対し、ミルチャコワ氏は次のように述べている。
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【視点】米国がデフォルトに陥れば、悲劇的な結果を生む
米国のジョー・バイデン大統領は、政府債務の上限引き上げや停止についての協議が失敗に終わった場合、その結果は米経済にとって悲劇的なものになると述べた。米政府の財務が債務上限に達し資金難に直面している問題は、かなり切迫した状況となっており、バイデン大統領は、協議が決着しなければ、19日から21日にかけて広島で開催されるG7サミットを欠席する可能性も示唆した。
もっとも、5月10日に解決策をめぐって共和党のケビン・マッカーシー下院議長とミッチ・マコーネル上院院内総務と協議を行った
バイデン大統領は、その後、G7サミットを欠席する可能性は低いと述べた。
米財務省と議会予算局の報告書では、
債務が31.38兆ドルの上限に達した場合の結果について明記されている。指摘されているのは、米国経済が短期的なデフォルト(債務不履行)に陥った場合、20〜50万の雇用喪失、0.3〜0.6%のGDP低下、0.1〜0.3%の失業率の増加が見込まれるが、これはそれほど悲劇的なものではない。しかし、完全なデフォルトに陥れば、雇用喪失は830万、GDP(年率換算)の低下は6.1%、失業率の増加は5%、株式市場の下落は45%となる。そしてこれらすべてが、バイデン政権のこれまでの成功を無にするのである。
ホワイトハウスは無条件での上限の引き上げを求めているが、これに対し、共和党が過半数を占める下院は、歳出削減を要求している。
先日、ジャネット・イエレン財務長官は、
債務上限引き上げについて、本来必要な連邦議会の承認を回避する措置をとるのは「憲法上の危機」になる可能性があると強調し、6月1日にもデフォルトに陥る可能性があると述べた。
こうした状況について、米国・カナダ研究所の主任研究員で、経済学博士のウラジーミル・ワシリエフ氏は、「スプートニク」の取材に対し、現在、米国は憲法上の危機に近づいていると言えると指摘している。
「バイデン大統領は合衆国憲法修正第14条を発動する可能性については慎重な発言を行っています。これは議会を関与させずに、大統領府によって公的債務を履行するというものです。この修正が発動されたことはかつて一度もありません。これを発動した場合、支払い、税収、証券の売却など、連邦政府のすべての義務が遂行されることを意味します。
しかし、状況はもはや財政問題でなくなり、大統領の弾劾訴追にいたるまでの政治的・法的な分野で予測不能な結果をもたらします。今週金曜日に、なんとかしてデフォルトを回避するために、バイデン大統領、マッカーシー下院議長、マコーネル上院院内総務が再び協議を行うことになっています。そこで合意が得られなければ、その期間がどのようなものであれ、ドルの下落と世界的な不測の事態が起こるでしょう。またそれにより、日本や多くの国が米ドルへの不信が起こり、株式市場では、世界経済の停滞を予想したパニックが生じるでしょう」
一方、ワシリエフ氏は、長年の経験から、債務上限に関する妥協点は見出すことができるものであることが証明されてきたと指摘する。
「これまでデフォルトが実際に起きたことは一度もありません。一定の譲歩がなされ、上限は設定されることになるでしょう。米国の国債は普通の債務ではありません。米国は資金を借入するのではなく、債権を売却しています。これは自由な財源を維持するためのもっとも有効的な方法の一つです。これを買っているのは、中国、日本、産油国などの余剰の資金がある国々、銀行、民間人などです。利子はそれほど大きなものではありませんが、高い信頼性があります」
一方、この問題について、フリーダム・ファイナンス・グローバル社のアナリスト、ナタリヤ・ミルチャコワ氏は、次のような見解を示している。
「我々は、米国がデフォルトに陥る可能性はきわめて低く、ゼロにかなり近いと考えています。しかしながら、そうなる可能性がゼロだとは考えている訳ではありません。過去10年で、米国の債務は8倍、過去30年間では10倍にも増えています。つまり、米国の債務はこの10年で、年間平均6%のペースで増加しているということです。そしてこの米国の公的支出が常に増加すれば、また新たな債務を必要とするため、このような動きはいつか止める必要があります。逆に、もし米国が支出、すなわち債務を増やし続ければ、実際、少なくとも技術的なデフォルト、つまり期限内に支払い義務を履行できなくなる状況となるでしょう。1979年にこうした事態に陥ったことがありましたが、それは期間としてはそれほど長くなく、技術的なミスによるもので、その影響は短期間で取り除かれ、世界経済への影響はありませんでした」
しかしながら、こうした状況に陥る可能性はかなり低いとはいえ、もし実際に起こった場合にはどのような影響が出るのだろうか。日本のように、米国を軸にした経済システムを持つ国々にはどのような影響があるのだろうか。
この問いに対し、ミルチャコワ氏は次のように述べている。
「もし実際にデフォルトに陥った場合、米国債の最大の保有者は大きな打撃を受けるでしょう。それは、日本、英国、ベルギー、中国などです。もっとも、中国は、少しずつ、米国債の保有高を減らしています。おそらく、リスクが高いものだと捉えてのことでしょう。
2022年末の時点で、日本は米国債の最大保有国で、1兆763億ドルで、全体の3.7%を占めていました。もし米国がデフォルトを宣言すれば、米国債の価格は暴落し、GDPの規模を上回る日本の債券を含め、リスクの高い債券を避ける動きが世界中で始まるでしょう。米国やその他の国のリスクの高い債券の資金は不思議なことに米ドルに流入します。もしデフォルトが技術的なものであれば、問題はすぐに解決されます。
しかし、もし米国が債務履行を拒否すれば、その影響はドルにも及び、大暴落する可能性があります。そして米国経済は長期的に景気後退し、米国の最大の貿易相手国である中国や日本の経済にも否定的な影響を及ぼすでしょう。そうなれば、世界経済の成長率の鈍化、あるいは低迷を招くことになるかもしれません。しかし、そのようなシナリオとなる可能性はかなり低いと我々は考えています」