西側の対ロシア経済戦争敗北は、古い世界秩序の終焉を物語っている

独誌デア・シュピーゲルは、西側諸国は経済戦争でロシアに勝てなかったどころか、今年2023年のロシア経済の成長率はユーロ圏の平均を上回るだろうと報じている。同誌は、これは古い世界秩序が終焉を迎えたことを物語っているとし、欧米は「言うことを聞かない」国々に対する説教や制裁を広く行使しているにもかかわらず、世界における支配的な地位を失いつつあると強調している。
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デア・シュピーゲルの記事の筆者、ヘンリック・ミュラー氏は「西側はロシアのドル、ユーロ、ポンド建ての外貨準備を凍結し、西側と東側の貿易の大部分を停止し、(ロシア産の)石油およびガスの輸入を削減し、価格に上限を設け、(ロシア産石油を輸送する)船舶に対する保険の提供を禁止し、その他にもたくさんのことを行った。しかし、ロシア経済は機能し続けている。途切れ途切れではあるが、それでも引き続き機能している。そして、このようなことが可能であるということは、世界が何年もの間にどれほど大きく変化したかを示している」と指摘している。
同氏によると、1990年代にグローバリゼーションのプロセスが始まる前、G7諸国は世界の国内総生産(GDP)の約半分を占めていたが、現在は3分の1にすぎないため、西側諸国はもはや自分たちのルールを世界のその他の国々に押し付けることはできない。ミュラー氏は、その結果、中国やインド、その他の国々はかつての「世界覇権国」である米国の指示を無視し、対ロシア制裁には加わらず、西側は手にすることができなかった自分たちに大きな利益をもたらすロシア産の石油およびガスを積極的に購入し続けたと強調している。そしてロシア政府は、欧州と米国向け供給分の損失を補うことができた。さらにロシアは各国通貨での取引に移行した。その結果、欧米はユーロを武器として使って状況に影響を与えるチャンスを失った。
日本はロシアからの天然ガス供給を増やすだろう=在札幌ロシア総領事
デア・シュピーゲルは、ラテンアメリカ、アフリカ、アジアの大部分は集団的な西側諸国の懲罰的措置を無視し、現在は国際舞台でさらに独立した行動をとっており、それは石油の問題に限らないと報じている。ミュラー氏はその一つの例として、今年1月に就任したブラジルのルラ大統領の北京訪問を挙げ、これは同氏がワシントン、ベルリン、ブリュッセルに彼らの利益のためにブラジルを利用するのを許すつもりはないことを示していると指摘している。ミュラー氏によると、グローバル・サウスの動きに対抗して米国と欧州連合(EU)は現在、ロシアが西側の規制を回避するのを支援する国々に制裁を加えると脅しているが、これによって西側の人気が向上することはなく、かつての同盟国をますます遠ざけているという。
同氏は、世界覇権国の役割を取り戻すことができるのは、例外なくすべての国に平等な権利を保証するリベラルな世界秩序を提供できた場合に限られるとの見方を示している。一方、ミュラー氏は、米国とEUが世界経済の舞台を戦略的対立の場とみなしている現在、事態がそのように進展する可能性は低いとしている。
スプートニク通信は先に、中国のテクノロジー企業に対する米国の制裁は、中国で進められている米国の最先端半導体を使わない人工知能(AI)の研究の発展を促進すると報じた。
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