「G7サミット実施の効果はセンセーションもなく、ほぼゼロです。初期のころのサミットは『世界の征服者ら』を想起させるもので、実際、国際的に重要な問題が、特に経済問題や危機的状況の解決がなされていました。ところが今、G7首脳の解決する問題の範囲は文字通りすべての問題に広がっているのに、世界に、首脳らの合意に達した問題解決の遂行に対する影響力は逆に非常に低下してしまいました。つまりG7は時間の経過とともに空気の抜けた風船のようになり、事実上、形骸化したわけです。
現在、本来のG7の役割を見事に演じているのはG20のほうです。G20で出される声はG7とは全く異なり、他の国にも関連する、異なる議論がなされています。 G7は基本的に、同じ考えを持つ国による選ばれたクラブに過ぎません。討議される問題はどれも最小限の議論に抑えられ、しかも解決策は常に米国に都合のいいものが採られます。これに対して G20は全く異なる討議の場で、様々な声が出されます。しかも声を出すのは世界においてますます重要な役割を果たしている、中国、インド、ロシア、ブラジルなどの諸国です」
「だから、G7はこうした国々を招待するのは本格的なサミット参加者としてではなく、世界を支配する者たちの『お隣りに腰掛け』させるためで、つまり彼らの正しい『世界観』に耳を傾け、それに従えというわけなのです」
「現在のG7サミットが広島で開催されているのにはれっきとした理由があります。それはまさに今、NATOの軍事インフラの東アジア、東南アジアへの大規模な移転が準備されているからです。事実としては、この決定は2022年にマドリッドで開催されたNATOサミットで採択されていたもので、NATOが極東においても積極的に展開することをまず中国に、そしてロシアに警告したわけです。ですが、NATOの東進を除けば、G7サミットは何も重要なことを世界に伝えてはいません。なぜなら、G7首脳がサミットで採択したものは何にも値いしない内容であり、現在の地政学的、地理経済的展開を根本的に変えるポテンシャルは欠けているからです」
「中国の計画を、それが自分たちの目的に全く矛盾している、米国とそのG7同盟国はよしとしていません。なぜならこれらの国が目論んでいるのは、ウクライナと紛争するロシアを打ち負かし、最後はロシアの豊かな資源を使うことだけだからです。
このような幻想が今、西側諸国で非常にもてはやされているからこそ、ウクライナ紛争にこれほど巨額の資金が投入されているのです。つまり、全てはこの計画の実行のためであり、欧米のシナリオ通りに事が進まなければ、欧米の資金は実際にはすべて無に帰してしまうからです。だからこそ、欧米はウクライナに西側の軍事装備を供給し続けているのであり、交渉の席で和解するよりも、紛争をさらにエスカレートさせる方向に進んでいるわけです」