G7広島サミット

「パートナーであり、同時に敵」 G7が規定する対中関係

G7諸国はサミットの最終宣言に「中国に率直に関与し、我々の懸念を中国に直接表明することの重要性を認識しつつ、中国と建設的かつ安定的な関係を構築する用意がある。グローバルな課題及び共通の関心分野において、国際社会における中国の役割と経済規模に鑑み、中国と協力する必要がある」と表記し、中国に対する態度を「必要なぶんだけ開放しつつ、可能な限り(相手から)自立する」と定義した。これについて独シュピーゲル誌は、つまりG7は中国を、経済においても、また安全保障の面でも、敵対者であると同時にパートナーでもあると認めたことになると書いている。
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シュピーゲル誌は、中国に対するG7のこうしたダブルスタンダード的アプローチの理由を次のように説明している。コロナウイルスのパンデミックは、中国を抜きにしては必要不可欠な商品やサービスの供給の確保は不可能であることを、G7全加盟国に示した。しかも中国との緊密な貿易関係はG7に数え切れないほど多くの雇用をもたらし、その繁栄に寄与している。だがその反面、G7は新技術が中国に漏洩するのを防ぎたいと考えている。シュピーゲル誌はその理由について、かつて、安価な労働力を提供することで国際貿易のベルトコンベアーであった中国が、今や多くの技術分野で他の先進国を凌駕しているからだと書いている。
中国をパートナーとも敵ともとらえるようなダブルスタンダード的態度はG7サミット最終宣言に現れている。「グローバルな課題及び共通の関心分野において、国際社会における中国の役割と経済規模に鑑み、中国と協力する必要がある」という箇所がそうだ。シュピーゲル誌は宣言には同時に、中国との協力の限界についても記述があると指摘している。次の「我々はまた、国家安全保障を脅かすために使用され得る先端技術を、貿易及び投資を不当に制限することなく保護する必要性を認識する」の箇所がそれにあたる。
G7広島サミット
G7広島サミットは、米中対立をデモンストレーションするためだけに必要=専門家
シュピーゲル誌は安全保障政策の項目にも矛盾した対中関係が現れていると指摘している。それは「我々は引き続き、東シナ海及び南シナ海における状況について深刻に懸念している。我々は、力又は威圧によるいかなる一方的な現状変更の試みにも強く反対する」の部分が相当する。こうした一方でG7は対露関係の仲介者としての中国は失いたくない。最終宣言には、G7は中国がロシアに対し、「軍事的侵略を停止し、即時に、完全に、かつ無条件に軍隊をウクライナから撤退させるよう圧力をかける」ことを望んでいると書かれている。
G7の最終宣言に対して中国は、国際社会がなぜ米国及びその同盟国が自分たちのために用意したルールを受けれることはないかについて説明している。
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