横須賀基地に配備されている空母「ロナルド・レーガン」の乗組員の「薬物使用事件」は、日本国内における米軍人の危険な犯罪ゾーンが沖縄を越えて拡大したことを示している。
同空母の乗組員は2018年にも薬物の所持などでつかまり、責任を問われている。そして今回同じような事件が繰り返されたということは、今日に至るまで問題が解決されていないことを物語っている。
報道によると、容疑者の乗組員らは、空母の戦略的に重要な「中心」に位置する原子炉設備のメンテナンスを担当するチームのメンバーだという。
空母ロナルド・レーガンは首都近郊を含む日本の港によく寄港している。なぜ日本政府はこれほど明白な危険に耐えているのだろうか?スプートニク通信は専門家に話を聞いた。
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東洋諸国大学のアナトリー・コシキン教授は、日本が耐えていることの中に、米軍人がかなり重大な違反をしても処罰されなかったり、最小限の刑罰しか受けないことも含まれていると指摘している。
「問題は、米軍人が日本国内で治外法権のステータスを持っていることにある。これによって米軍人は一部の不法行為や犯罪行為に対する重い処罰をあまり恐れなくなる。なぜなら米政府と日本政府の間には協定があり、それに従って米当局のみが米国民を裁くことができるからだ。その行為が完全に日本国内で行われたとしてもだ。したがって日本人女性への性暴力や殺人に対して米軍人が祖国で有罪判決を受けたとしても、すぐに恩赦を受けて釈放されるケースがたくさんある。その原因の1つは、日本政府がこうした状況を是正するために必要な措置を講じていないことだ。まず、このような状況に対する日本人の憤りを『奨励していない』。それどころか、このような犯罪が米司令部との合意によって『穏便におさめられる』ことさえある」
米空母「ロナルド・レーガン」の乗組員による薬物の使用や取引に関するニュースは、米軍の日本駐留の道徳的および法的な側面に関する問題を効果的に解決するという選択を再び日本政府に迫っている。一方、コシキン氏は、この問題で何らかの変化を期待するべきではないとの見方を示している。
「日本政府は米政府に従属している。さらに現在、日本政府自体が米国の軍事戦略に積極的に加わっている。アジア太平洋地域だけでなく、世界規模の米国の外交政策においてもだ。これでは米軍の日本駐留に関する問題が今日迅速に解決されるという期待は持てない」
コシキン氏は、1つ安心できるのは、近代的なハイテク防護システムのおかげで原子力設備に損傷を与えることが不可能な点だと指摘している。しかし、「ロナルド・レーガン」の乗組員の誰かが薬物を使用した不安定な状態でその近くにいる可能性があるという事実そのものが、いずれにしても十分にしっかりした根拠のある懸念を引き起こさずにはいられない。
「米国の空母や潜水艦に搭乗している軍人が薬物の使用や取引などと関係していることは、もちろん懸念されるべきだ。まず、日本人自身の懸念を呼ぶはずだ。これらの米国人は戦略的に重要な軍事施設で働いており、日本人は彼らを自国の領土内で手厚くもてなしているからだ。したがって日本の野党はこのような事案にもっと注意を払うべきだ。なぜなら日本人自身の健康や命に係わる問題であり、日本で米国人が薬物を流通させている可能性もあるからだ。さらに米軍人が勤務先の施設で薬物を使用した状態で許可されていない行為を行うおそれもある。これは、これらの事実にさらに重大な危険性を持たせる。したがって、日本人だけでなく、米軍人の駐留に関係している外国の国際機関も反応すべき事案だ」
一方、中国・現代アジア諸国研究所のコンスタンチン・コルネエフ上級研究員は、これらの事件は依然として本格的な捜査の対象外となっていると指摘している。
「日本は米国のジュニアパートナーであり、日本との対話で米国は立場が髙い者としての自分たちの強い立場を貫いている。それは、米国は日本と条約を結んでおり、その条約に従って米国が日本に安全を提供しているということから成り立っている。したがって米軍人が関係する重大事件が起こったとしても、それが日米協力に悪影響を与えることはない。最終的に、今回の米軍人の事件も何の影響も与えずに終わるだろう。これらの米国人は一般の観光客ではなく、空母『ロナルド・レーガン』の乗組員なのに。おそらく、その論理は次のとおりだ。何も起こらず、誰も死なず、何も破壊されない限り、本格的な捜査が行われる可能性は低い」
コルネエフ氏は、違反者に科される可能性がある最も重い処分は解雇であり、事件や内部調査の詳細は一部の者のみに明らかにされるだろうとの見方を示している。